May.19.2017

VISIONARY

NUMBER_17 エザキ ヨシタカ / grico

24歳で原宿に「grico」をオープンし、走り続けた8年間。
美容業界内に留ることなく、多業種とアクティブに関わる中で
美容師の職域を拡げる、新たな可能性を見出してきたエザキ ヨシタカ氏。
彼を突き動かすものは何か、見つめる先にある美容の未来について聞いた。





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エザキ ヨシタカ Yoshitaka Ezaki
grico 代表





美容師の価値を底上げし、終身雇用を実現させるために



ヘアサロン3店舗とアパレルブランドを展開する株式会社grico、会員制コミュニケーションサロンMultiverse(マルチバース)を運営する株式会社picture topと2社の代表を務めるエザキ氏。美容師としての実力はもとより、企業人として新たなビジネスモデルを生み出し、業界内外から注目を 52集めているトップランナーだ。様々な活動を行う理由を尋ねると、美容業界の現状と未来に対する危機感について語り始めた。

「僕の実家は長崎で300年以上続く、鼈甲(べっこう)細工店。しかし、祖父の後を継ぐことは出来なかったのです。どんなに素晴らしい職人の技術があっても、条約により原材料が獲れなくなったり、着物を着る人がいなくなったりと、時代の変化と共に「種目」を増やしていかなければ、企業は廃れていきます。美容師は髪結いさんが始まりですが、その後、先輩方が創り上げてくれたカット、カラー、パーマ、ストレートから、ここ何十年、変わっていません。美容師という職業の価値も上がっておらず、所得ランキングもさほど変わっていない。もし、事故などで美容師が続けられない身体になってしまったら終身雇用をしてくれる会社は一つもないという業界なのです。なぜ、誰も着手しないのか、やる人がいないなら僕が整備しようと思ったのです」

2014年、airの木村直人氏と会員制コミュニケーションサロンMultiverseを立ち上げた。月額8,000 円または4,000円の有料制で現在、500名のオー ナーと美容師(2000サロン)の会員を統括している。

「技術や集客のノウハウ提供、セミナーなどを通して、全国の仲間と既存のフレームにとらわれない、全く新しい美容業界を作る 。そしてスペシャリストを多く生み出していくことを目指しています。今後、株式会社gricoは、あと2店舗。Multiverseでは仲間と市場調査をし、その地域特性に合わせた100店舗のコンセプトサロンを出店しようと計画しています」




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江崎べっ甲店


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Multiverse




自分たちが関わる全ての人(家族)を幸せにしたい



gricoは企業理念に「人に関わるときは魂と心に語りかける・関わると人が幸せになる・家族を大事に」を掲げている。

「どんな職業もアプローチすべきところは、会社(社長)・お客様・業界の三者しかなく、三角形で繋がっています。今、僕は月に2,200万円の個人売り上げがありますが、それは僕が三者を幸せにしているからです。美容師に例えると、スタッフが掃除を頑張る、ブログを書くなどオーナーの僕を喜ばせる行動をとったら、それはお客様も喜ぶ行為なのです。お客様が喜ぶということは売 れる美容師になるということだから、たくさん材料を頼むことになる。そうしたら業界も喜びます。最初の一人を幸せにするだけ で、三者とも幸せになるのです。しかし、ほとんどの美容師さんは、お客様と首から上の関わり合いしかしていないので「客単価」と言います。人が大好きな僕の場合は、美容室の鏡を通して、お客様の心や人生、ストーリーと関わっているので「生涯所得」になるのです。サロンは社交場です。僕のところには、カットだけでなくプラスαを求めて色々な方が来ます。大企業の社長さんも来ます。『今度、商品を一緒に作ってよ』『アイデアを出してよ』と言っていただき、今は、大手広告代理店と沢山のメーカーに顧問という形で入っています。それって僕が稼いでいるのではなく、稼がせてもらえているのです。それに気づいていない人が多い。100年じゃなく、300年、400年と続く企業にするためには、もう少し皆が手を取り合って三角形を作っていくことが必要なんじゃないかと思います」







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grico clothing


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好きを見つけて極めると、誰にも負けない強さが身につく



エザキ氏は、常に新しいカットや技術を生み出すことにもストイックに取り組んでいる。

「僕は、気だるい感じだけど、芯には強さを持っているような女性像が好きなんです。気だるい女性ってコテで巻かないので、僕はカットを極めました。先日、雑誌で『コッコレイヤー』という新しいレイヤーを 発表したのですが、僕がカットすると勝手に浮遊感 が出て、パーマがかかったように動かせるのです。これは僕にしか出来ないカットです。好きを見つけて好きを強めると、誰にもできない強さが身につきます。自分の強さが見つかった時、もう誰も気にならなくなりました。今は『僕は日本一、カットが上手い』と先輩にも、お客様にも言い切れます。そして、目の前の大事な人を幸せにできる力がついていたのです」

次なるヴィジョンに向け、始動したエザキ氏。

「世界的に有名な洋服のスタイリストに『君はドイツのベルリンに行った方がいいよ』と言われたことがあったのですが、先日、市場調査に行きとても手応えを感じました。これからは美容師も島国を出て、もう少しアプローチをかけていかないと。だって、オリンピックの時、美容師は何をするの? アイデアもない人はいらないってなるじゃないですか。ブランディングというのは、まだ誰もやっていない変なこと。これからも枠の領域を拡張して、可能性 を見出しながら実績を作っていく。それしかないと思っています」




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Profile/エザキ ヨシタカ
1985年、長崎県生まれ。都内大手サロンを経て、23歳でフリーへ転進。2009年、原宿に「grico」をオープン。2016年、原宿に「TORA」、大阪・心 斎橋に「BECCO」を同時オープン。サロンワークに加え、業界誌・ファッショ ン誌の巻頭・表紙、芸能人やモデル、コレクションのヘアメイク、国内外のセミナー講師などで活躍。2012年からは、美容師の新しい在り方作りとして、アパレル業やイベント企画など常に新しいアプローチを仕掛け、現在では芸能人、著名人等と共に美容業界以外でも多くのメディアから注目されている。




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