FRIXION Number_03 阿部 力 氏(美容師)× 稲葉 基大 氏(和菓子職人)

FRIXIONJul.26.2021

美容師と地場産業がコラボをしたら、どんな化学反応が起こるのか。
第3回目は東京発。原宿のサロン『vetica』のトップスタイリスト、阿部 力氏と 大田区上池台の和菓子店『wagashi asobi』のオーナー、稲葉 基大氏。 初対面ながら、撮影を通して意気投合された様子のお二人。 創作のこだわりや技術職としての苦悩、喜びを語っていただきました。 




阿部 力 氏 CHIKARA ABE(写真:左)
1988年9月26日生まれ、新潟県出身。新潟理容美容専門学校卒業後『VeLO hair & salon/vetica』入社。作為性が高いのにナチュラルな切り込みを得意とする。サロンワークの傍ら、美容業界のコンテストや撮影などにも積極的に取り組み、優勝、入賞の受賞歴を持つ。業界紙の表紙や著名人のヘアデザインも多く担当。

稲葉 基大 氏 MOTOHIRO INABA(写真:右)
1973年10月30日生まれ。赤坂の虎屋で20年の修行(6年間NY店に勤務)を経て独立。和菓子職人歴30年。2011年4月、浅野 理生氏と『wagashi asobi 』を開業。アトリエを拠点に国内だけでなくニューヨークやパリなど海外での活動やメゾンブランドとのコラボなど和菓子職人としての仕事の「和」を広げている。 



Hair_Chikara Abe (vetica)
Make-up_Akiko Fukue (vetica)
Costume making_ Eita (vetica)
Assistant_Yuya Ando (vetica)
Photographer_Yukie Sugano
Location_vetica

「らくがん」に着想を得て
和の要素を取り入れた女性像

阿部 この作品は、wagashi asobiさんの代表的な「ハーブのらくがん」から着想を得ています。落雁も素材の色が繊細に出ているものなどバリエーションがあったので、3人の日本人モデルさんを使い、和にこだわったのと、落雁の色がすごくキレイだったので髪の色で表現。ビニールの包装紙も衣装として作りました。あとは+αメイク等で少し色味を入れたり、引き算の要素を入れたところで全体的なバランスにも「和」の要素を入れ、写真もマットな質感で粉っぽさを表して、自分が思う落雁をクリエイションしました。

稲葉 作業を見ていて、本当にすごいなと思って驚いています。可愛らしくwagashi asobiの落雁を表現していただいて嬉しいです。


ハーブのらくがん


和菓子文化にとって
コラボレーションは原点回帰

阿部 wagashi asobiさんは、これまでも様々な異業種とコラボレーションをされていますよね。

稲葉 本来、和菓子はお茶や大名、殿様文化などの影響を受けていて、茶人からお客様をもてなすために特注で作って欲しいと依頼があったり、公家の祭り事や季節の歌会、歌舞伎の演目に合わせてお菓子を表現する、そういったコラボレーションの文化があったわけです。しかし、時代は変わってきて、並んでいるお菓子を「売って、買って、食べる」ようになった。wagashi asobiは革命児的な扱われ方をすることが多いのですが、どちらかというとやっていることは原点回帰で、本来あるべき、個々のお客様に対してどれだけリアクションできるかということを自分たちの持っている技術でやっていけたらいいなという想いでやってきました。今、こうしてコラボレーションのお声がけをいただけることはすごく嬉しいです。


ドライフルーツの羊羹


wagashi asobi


モノづくりへのこだわり
自分の中で大切にしていること


阿部 僕は「原宿」で美容師をやることにこだわっています。普通に見えるようなヘアでも自分のテクニックをちょっと入れて、よく見たら普通じゃないデザインにするとか、思いっきりぶっ飛んだクリエイションヘアを創るとか、デザインの中に「自分印」をしっかり入れていきたい。原宿にいてもおかしくないではなく、原宿で作ったヘアデザインだから、お客様が自信を持って街を歩けたり、毎日が楽しくハッピーな感じになってもらいたいと思い、美容師をやっているので、この土地に負けない素敵な美容師になって、素敵なデザインをずっと作り続けていきたいなと思っています。また、サロンワークの次に重きを置いているのが、クリエイションのコンテストに出ることです。自分の引き出しをもっと深く広いものにして、いつでも自分らしくアウトプットできるように準備をしています。また、作品づくりで一番こだわっているのが、そこに「驚き」があるか。心地よい驚きのようなところを絶妙に攻めていきたいなと思っています。


阿部氏のクリエイション作品


vetica


稲葉 僕は、情熱的な傾きではなく、たまたま求人表の採用基準に惹かれて和菓子の道に入ったのです。でも、やっていく中で人が喜んでくれるし、知った和菓子文化の魅力が、今の時代に活かされていないと感じた時に、もっとカッコいいものだと皆に知ってもらわないと、もったいないなと思ったことがやる気を 出した起源でした。wagashi asobiは一瞬一粒、一期一会。一つひとつの菓子に想いを込めることをコンセプトとしていますが、丁寧に作ることもそうだし、自分たちの手から離れてお客様のところへ行った時に、あげた人も貰った人も喜ぶとか色々なシーンで人を笑顔にする手伝いができたらいいなと思っています。ただの商品ということではなく、「あれ美味しかったよね」とか「お父さん、生前あのお菓子が好きだったよね」と時空を超えた想いや余分に華やいだ記憶に飾り付けをする部分を自分たちの菓子が担う可能性があると思った時に、一つの商品を永年的に提供できるよう、一日でも長く続けられる堅実なお菓子屋を目指して取り組んでいます。

撮影・対談を通して感じた
共通点とリスペクト

稲葉 色々お話をさせていただいて、美容師さんもほとんど同じ職業をしているんじゃないかと思うような技術職だと思いました。葛藤の中に生まれる「アーティストになりたい自分」と「技術職として技術を提供しなくてはいけないサービスマンの自分」というバランスを保ちながら仕事をしていくところは本当に共感します。

阿部 稲葉さんは思っていた通り、素敵な方だなと思いました。今、職人の仕事って人口的に少なくなってきていると思うのですが、仕事を選ぶ時にこういう志を持っている方に話を聞く機会やその人の作ったお菓子を食べることによって夢が広がるのかなと思います。僕自身も職人として、美容師になりたいなと思う人をもっと引き込めるような作品、生き方をしたいと改めて思いました。

 

アザーカット&対談は、 SNIP STYLE9月号でも掲載予定です。
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vetica
〒150-0001 東京都渋谷区神宮前3-25−5  Gビル神宮前08 4F
http://velovetica.com

株式会社 wagashi asobi
〒145-0064 東京都大田区上池台1-16-2
https://wagashi-asobi.com

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