GAMO NEWS 102号の舞台裏 成田 堅太朗氏(N)

Nov.26.2021

GAMO NEWS 102号のテーマは「Action」。
カバー&ヴィジュアルを手がけていただいたのは、クリエイションのフィールドで業界の注目を集めている『N』の成田 堅太朗氏です。Actionを起こし続けたから「今の自分がある」と語る、成田氏の新たな挑戦とは。

成田さんがイメージする「Action」とは
テーマ「Action」からどのようにイメージをされましたか

コロナ禍になり、多くのサロンさんが「何かを変えなくては」「行動しなくては」と思われたと思うのですが、その逆に、変えてはいけない「本質的なこと」もかなり見直されたのではないかと感じています。僕は少しエッジの効いたショートスタイルをオリジナルとしてきたのですが、「Action」ということで、自分の本質を守りながらも今までの殻を破った作品を作ろうと考えました。これまではヘア中心に力強いインパクトをもっていくことが多かったのですが、今回はヘア、ファッション、2人のモデルさんを絡めた構成というトータルバランスで考え、皆さんに「素敵だね」と思ってもらえる作品に仕上げました。自分の中では新しい一歩になったと思っています。カットは刈り上げとライン感がポイントで、まっすぐなラインなのですが、カラーで奥行きを見せています。やっていることはとてもシンプルですが、テクニックとフォルムで美しいものを見せたいという気持ちが強いですね。


表紙の作品


中面の作品(右)


中面の作品(左)

ローライトで陰影をつけた立体感のあるカラーデザイン
カット、カラー、スタイリングのポイントを教えてください。

カットのもう一つのポイントは自分の得意技でもあるのですが、刈り上げを丸く優しく仕上げているところです。メリハリをつけすぎてしまうとカッコ良くなり過ぎてしまうので、サロンワークでも女性の場合はいつもちょっと甘めに刈り上げています。

カラーは、秋(オレンジ)と冬(ブルー)を意識しました。ブルーはアッシュ寄りのベージュとミックスし、オレンジは濃い色のベージュとミックスして使用。ビビットな感じの色みより、淡い色みのほうが今の時代っぽいのかなと思います。自分の中で色のマイブームがベージュとネイビーだったのでバック紙にも使ってみました。

根元にローライトを入れて濃くし、毛先を明るくしているのがポイントです。スタイリング剤をつけて梳き下ろすと隙間から黒い髪が見えてきて立体的に見えるという仕掛けですね。カットとカラーがシンプルなので、撮った時の上がりが軽い印象に見えてしまわないためです。個人的に複雑なカラーの入れ方はあまり好きではないので、シンプルにインパクトのある方法でやってみました。

スタイリング剤はオイルとワックスを使用しています。ストレートアイロンは使っていません。2人とも髪質が良いというのもありますが、きちんと見て切れば必要はありません。


撮影チームの協力で納得のいく作品に仕上がった
—今回の撮影チームにはどのように指示をされたのか教えてください。

クリエイティブの撮影では、ずっと松山さんに撮っていただいていて、いつも頼りにしています。今回はトータルでオシャレにしたいというコンセプトと構図、カラーバックを使って色合わせをしたいと伝えました。

衣装に関しては、美容師さんっぽい衣装にもモードにも振りたくなかったし、強い作品というよりは優しい作品に仕上げたいと思い、スタイリストの橘高さんには、キレイに着せるというより、ずらしたり、面白みのある着こなしの提案をお願いしました。

ヘアは雰囲気だけという感じで作ろうと思っていたのに、結局最後はヘアを見せたくなってしまいまいました(笑)。ライン感はやはり大事だなと改めて思ったし、こだわりたかったポイントだったので、最後まで粘って、粘って、最終的には納得のいく作品を撮ることができました。


憧れの美容師さんのようになりたくて
クリエイションを始められたのはいつですか?

クリエイションは12、13年前からやっています。
僕は岡山県出身で30歳まで岡山で美容師をやっていたのですが、当時、エリアのコンテストを見に行ったら、賞を総どりしている美容師さんがいて、その方への憧れからクリエイティブの世界に入りました。

始めて1年目からなんとなく結果は出ていたのですが、JHAにノミネートされるまでは10年かかりました。2回目のノミネートぐらいから、周りの美容師さんにも認知され始めたなと感じるようになりましたね。「作品、カッコよかったです!」と言っていただけることは、やってきたことのご褒美だと思っています。今では全国に美容師さんの友達がいますが、クリエイションをやっていなければ出会えていなかったご縁です。

まずは昨年の自分の作品を超えることが大切
ご自身のクリエイティビティを高めるために心がけていることはありますか?

クリエイションに対してで言うと、まずは昨年の自分の作品を超えたいと思っています。そうすれば、自ずといい結果が出ると信じているからです。

あとは、何も考えずに、ふわっと生きていたら、感度を高めることは難しいと思っているので、色々な場面で見て引っかかるものがあれば取り入れている感じです。例えば、プライベートでもカフェやショップで流れている音楽がいい曲だなと思ったらアプリで検索するようにしているし、オシャレだなと思うものは写真に撮るなど必ず記録しています。

技術が向上し、サロンワークにも反映されている
クリエイションを続けられていてメリットだと感じることはありますか?

技術面では絶対的に上手くなっていると思います。似合わせと自分に対しての合格ラインが高くなり、それがサロンの仕上げに対しても確実に上がったなと感じています。今回のブルーのヘアのモデルさんぐらいまで切り込めるようになったのは、クリエイションでこういう髪型が作ってみたいとチャレンジした結果です。

今回のモデルさんは二人ともお客様なのですが、最近はメイドインNとして、Instagramにもよく登場していただいています。彼女たちのような髪型を見て、ピンポイントですが切り込んだカットのオーダーが入ることもあります。

また、その逆でサロンワークからクリエイションのヒントを得ることもあります。例えば、今回、根元にローライトを入れて陰影をつけているのですが、それは以前、お客様からローライトを入れて欲しいというオーダーがあったことから得たアイデアだったりします。

クリエイションは自分の時間とお金を使ってやることが大事
—サロンでは他のスタッフさんにもクリエイションを推奨していますか?

うちは、サロンの空間とか打ち出しているスタイルが好きで入ってくるスタッフが多いのですが、撮影は皆がやりたいと言っていますね。今回のような機会をいただけることは本当に嬉しいことで、スタッフのモチベーションも上がります。最近入ったアシスタントも見学に来させていただきました。

しかし、クリエイションをやることを強制はしていません。結局、自分でやらないと意味がないからです。クリエイションは、お店に言われたからやるとか、撮影会を組んでもらってやるのは結構、簡単なんです。でも、最終的には自分の時間とお金を使ってやることが本当に大事だと思っているのです。

どうしても「いい作品が撮りたい」「賞が獲りたい」と結果を出すことを望むのならば、1回でも多く撮影するしかない。そうなると自分の時間とお金を惜しまず使わないと難しいと思います。JHAなどで賞を獲っている方たちは確実にそうやって自分で動いているので。

今回、手伝ってくれたアシスタントも自分でカメラマンさんを頼み、撮影をしていますし、今年はTHAに応募したスタッフもいます。僕たちは、その頑張りをフォローをするとともに、いい作品を撮って、いい賞を獲れたらこんな気持ちになれるんだよということを背中で見せていかなくてはいけないと思っています。

今はSNSで活躍されている美容師さんも多く、簡単に自己発信ができてしまう時代。コンテストや業界誌に載ることの価値が薄まっていっているように感じて、寂しいなと思う時があります。また、僕らが憧れるレジェンドの美容師さんのフォロワー数が多いかというとそうではない場合も多く、どこを目指せばいいのか分からなくなる時もありますね。

しかし、本質的に上手くなるためには、数字ばかりにとらわれず、ブレずにやっていくという姿勢は変わりません。カット力やバランス力、フォルムが美しいといった本質的なことを下のスタッフにもしっかり教えていきたいと思っています。

諦めずに良かったと思う時がくる
若い美容師さんへメッセージをお願いします!

僕個人として、諦めなくて本当によかったなと思うことがたくさんあります。

28歳の時、「30歳になったら東京に出たい」と思い、何も考えずに出てきてしまったのですが、ガモウさんや雑誌の方々とお仕事をするためには、自分で店を持つか、どこかに所属するしかない。でも、東京で働きたいお店がなかったから、自分で作るしかないと思って代々木八幡に『N』をオープンしました。

クリエイションをやることでのメリットという話に戻りますが、もし、やっていなかったら東京での出店も、2店舗目も叶っていなかったと思うぐらい、クリエイションは自分の中で大事なものです。

先日も月刊『HAIR MODE』で撮影をやらせていただいたのですが、岡山にいる時は大きいサロンでなければ、業界誌などに載ることも無理なのかなと思っていました。でも、頑張ればできるんだということが分かり、本当に良かったです。

クリエイションは、美容人生をめちゃくちゃ変えてくれました。

今なら、自分が無理なら誰がやっても無理だろうという自信があります。それは岡山でも東京に出てきても、たった一人でも、情熱の火を消さずに、“Action”を起こし続けた結果だと思います。

月並みな言葉になりますが、「諦めずに頑張れば願いは叶う」。なんとかやり遂げることを考えれば大丈夫! ということを皆さんへのメッセージとさせていただきます。

 

 

COVER LOOK BY
KENTARO NARITA_ N

HAIR: Kentaro Narita (N)
MAKE-UP: Shota Kojima (N)
ASSISTANT: Kouki Shinya(N)
FASHION STYLING: Moe Kittaka
PHOTO: Yusuke Matsuyama


成田 堅太朗氏
N代表岡山県出身。専門学校岡山ビューティモード卒業。2017年、Nをオープン。現在2店舗を小島翔太氏と共に展開している。ナチュラルのなかに少しエッジの効いたデザインが得意。2016年、2019年、JHA NEWCOMER OF THE YEAR ノミネート。2016年、2018年、2019年、JHA RISING STAR  OF THE YEAR  東京エリアノミネート。2021年、TOKYO HAIRDRESSING AWARDS ノミネート。
https://hair-n.jp

 

 

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