ガモウニュース Vo.103号の舞台裏 岩上 晴美氏 (kakimoto arms)

Making Cover LookMar.18.2022

2022年はじめのGAMO NEWS。テーマは『Color your life』。
今回、カバー&ヴィジュアルを手がけていただいたのは『kakimoto arms』のヘアカラーマネージャー、岩上 晴美氏。カラーリストの第一人者として道を切り開いてこられた岩上氏の言葉も必見です。

岩上氏がイメージする「Color your life」とは
テーマColor your life」からどのようにイメージをされましたか

ヘアカラーは、一つのシーンにだけ合わせるものではなく、その人の日常の様々なシーンに馴染ませたり、逆に際立たせたり、色々な役割をするものだと考えています。今は多様性が尊重される社会になり、「これをやったらいけない」という既成概念のようなものがだいぶなくなってきていますよね。ヘアカラーも年齢や性別を超越してなんでもありだし、その中で自分が好きなものをチョイスできる時代。そういう自由さのある中で、色でリアルライフを彩り、ハッピーで元気な女性像を描きたいと思いました。昨年の『kakimoto arms collection』でモデルを務めてもらった彼女を起用した訳は、23歳という若さで2人の子どもを育てている母であり、モデルの仕事をしている働く女性であり、いつもピンクのヘアカラーを楽しんでいる一人の女性。そんな彼女の強さ、優しさ、柔軟性がまさに今回のテーマと自分が表現したいことにぴったりだったからです。


表紙の作品


中面の作品(右)


中面の作品(左)

表面と内側に時間差で濃淡をつけたところがポイント
ヘアカラーのポイントを教えてください

表紙の作品はウィッグを使っています。金髪にブリーチしてあるウィッグをカットしてもらい、ホーユーの「グラマージュ」というヘアマニキュアのスウィートピンクという色で染めています。ポイントは時間差で染めて、内側が薄いピンクになっているところです。トップセクションは根元、中間、毛先まで一気にいったのですが、アンダーセクションは根元を塗って、少し時間をおくことで時間差をつけます。その後に毛先に伸ばし、内側を薄く染めました。動きがあると内側から明るい色が見えるようになっています。普通、人間の髪ではやらない技法ですが、今回はウィッグでしかできないことをやろうと思いました。また、わざとアシンメトリーに染めているので撮った時に色の違いが分かると思います。

中面見開きの作品は地毛です。2週間前に17Lv程度のブリーチをしていたので、そこにマニックパニックのコットンキャンディーという色で染めました。根元、中間を塗って、少しおいてから毛先。ダメージレベルによって色の入り方が違うので、鮮やかに見えるところと淡く見えるところ、グラデーションに見えるようになっているところがポイントです。

同じ熱量で向き合ってくれるドリームキャストが集結!
今回のチームについて教えていただきたいのですが、クリエイションをする時は毎回同じメンバーですか?

チームは毎回違います。ガモウニュースの表紙を飾らせてもらうことが決まった時に、この人たちだったら最強に可愛い作品が作れるなと思ったメンバーに今回は声をかけさせてもらいました。

メイクは私と同じ青山店で働いているトップカラーリストの西野に。ヘアスタイリングは二子玉川店店長の細畑にお願いしました。スタイリストの中で今回、彼を指名したのは、いつも、とことん作り込む姿勢を見ていて、こんなに作品と向き合える人っていないと思っていたからです。衣装のスタイリングは小川 夢乃さん。どの作品を見てもハッピーなスタイリングをされる方なので、一緒にお仕事がしたいと切望していたスタイリストさんです。そして、フォトは佐野 一樹さんに。こちらのやりたいことを汲んでくれ、クオリティーを高めながら、一緒に作品を作り上げてくれるフォトグラファーさんです。今回は念願叶い、ドリームキャストが集結しました!

今回はある意味、幅広いテーマではあるのですが、ひとつ一つのシーンにこだわることができる人たちを集めないと、ボヤけた作品になってしまうのではないかと思いました。私は、仕事の内容や求めるテイストによって、協力していただくスタッフの人選も大事だと考えています。やはり、同じ熱量で向き合ってくれ、自分より「もっと、もっと!」と思ってくれる人がチームにいると安心感がありますね。

今回、チームと共有したイメージは「カラフルでハッピー」。可能な限り色を使いたいということをお願いしました。

「ハッピーで元気になろう!」というメッセージを込めています
まさにイメージ通り、カラフルでハッピーな作品に仕上がりましたね。お子さんがいたこともあり撮影現場が和み、幸せな空気感に溢れていました。

このお仕事をいただいた時に、ものすごくハッピーな作品がいいなって思ったのです。ちょうどarms collectionを撮り終えた後で、自分たちのテンションがハッピーだったこともありますが、ピンクでいきたい!って。

今年のcollectionもそうなのですが、今は紙面からパワーを送りたいという気持ちが大きい。世の中は沈みがちだけど、元気な人は元気だよ。「みんなも元気になろう!」という気持ちなんですよ、kakimoto armsは。

kakimoto arms collection 2021 A/W

でも、コロナ禍になり、カラーを楽しみたい人は増えていると思います。業界全体のことなのかもしれませんが、kakimoto armsは昨年から売り上げが伸び、今年はそれを上回り史上最高の売り上げを樹立しています。

リモートワークの方が多くなり、今までチャレンジ出来なかった明るさにしてみようというお客様も多いし、ハイライトを入れる方も増えています。
コロナ禍をきっかけに、新しい自分と出会えた方は多いと思いますね。

業界的に黒髪、暗髪が流行っているとも聞こえてきますが、kakimoto armsは全然、流行っていないよ!と思うぐらい、積極的にカラーを楽しまれているお客様がものすごく増えています。


美容師側のものさしで制限をかけていたことに気づいた
日々のサロンワークの中で感じる、お客様の変化はありますか?

サロンで日々働いていると、本当に驚くことが多いんです。

私のメインのお客様は白髪に悩んでいる方がすごく多いのですが、団塊ジュニアと言われている50代手前の方達は、一番カラーを楽しんだ世代でもあったから、自分が白髪になった瞬間にこの色しかできないとか、この明るさじゃなきゃダメとか、そんなに白髪って制限がでちゃうの?という白髪の呪縛にすごく悩んでいる方が多いのです。

私も以前なら、お客様が「白髪が気になってきた」と言ったら、私は当たり前のように「白髪を染める」と思っていました。でも、ある時からお客様に「白髪が気にならなければいい」、「白髪が馴染んでくれたらいい」、むしろ「白髪は染めないで、なんとか美しくしたい」と言われることが多くなり、白髪に対するお客様の考え方は様々だったんだということに気づかされたのです。

そこから私は、白髪を染めずに地毛を生かしながらハイライトでオシャレに見せる「白髪を活かすカラー」「大人の地毛ハイライト」として、3か月に1回のヘアカラーを目標にしましょうというカラーデザインを提案しています。他の美容師さんがやっていなかったことだったので、ものすごく支持していただいています。

あとは、ファッションカラーでも、このお客様はお子さんがいるし、仕事もされているし、これくらいの明るさかなと自分の中で勝手に制限をかけていたところがあったのですが、お客様の方は全然平気で、こちらが「こんな緑でも大丈夫なの!?」とか「ピンクでこんなに明るくても良かったんだ」といい意味で概念が覆されていくのを実感していますね。

多分、全国のお客様が「本当はこうしたい」と望んでいることが、それぞれあると思うのですが、美容師側が自分たちのものさしで押し付けて接してしまうことが多いので、満足していないお客様は結構いると思うのです。

何度かお客様は、美容師さんに言っているはずなのです。例えば、それはカラーに限らず、お客様が「前髪切るのってどうかしら?」と、ものすごく勇気を出して聞いてみたら、「今の方が似合っていますよ」という美容師さんの一言で、「やっぱり私は前髪が似合わないんだ」と諦めてしまう。「私はこんな色に似合うんだ」とか「こんな自分になれるんだ」と気づかせてあげられるのは私たち美容師にしかできないことなのに、その期待を軽い一言で諦めさせてしまうことはとても残念ですよね。

お客様が本当に求めていることを「聞く力」が大切
では、お客様が求めているものを叶えるためには、何が必要なのでしょう?

美容師側が制限や枠などを決めず、まずは一人ひとりのお客様ときちんと向き合って、本当に求めているものを「聞く」ということがすごく大事だと思っています。もし、美容師さん皆んながそうしたら、日本女性の美の可能性は無限に広がっていくのではないでしょうか。

この間、テレビの取材を受けた時に、ディレクターさんから「今までカウンセリングでこんなに話を聞いてくれたり、提案してくれた美容師さんはいない」と驚かれたのですが、私はお客さんの話を聞きたいし、色々と教えて欲しいんですよ。今日したカラーがご自宅に帰られて1ヶ月間どうだったのか。家族や友人に何と言われたのか、次はどうしたいと思ったのか、今までのサロンでどういうことが良かったのか、どういうところが不満だったか、今はどうしたいのかまで全部聞きたいのです。

他の美容師さんはどうして聞かないのか分かりませんが、私は、カラーリスト=スペシャリストであることが大きいと思います。まだ日本にカラーリストがいない世界で2年間、美容師として育ち、その後にカラーリストになったわけですが、「カラーリストじゃなきゃダメだ」、「この人にやってもらわないと嫌だ」という存在になるためにはどうやっていくべきかというのが一番最初にもらった宿題でした。それは今も引き続き考えていることですが、「普通の美容師さんがしないことをしよう」という発想になったのだと思います。

「いつもの感じにしてください」とオーダーするお客様だったとしても、「パーソナルカラーはご存知ですか?」など何か新しい情報や興味を持ってもらえるアイデアはないかということをずっと意識してやってきました。

何か変わりたい、変えたいと思ってお客様が出してくれているサインを見逃さないということは、お客様のハートを掴んで二度と他のお店には行かせないチャンスだと思うのです。今はSNSが普及しているので、満足していないお客様は諦めずに探し始める。そうすると、この人なら良さそうだとか、私がやりたかった髪型はこういうのと思って、これなら行ってみようと、勇気を振り絞ってサロンを変えたという方と多く触れ合っているので、なんで私のところに来てくれたのかなということに耳を傾けるようになったのだと思います。

お客様もいろいろ教えてくれますよ。今、SNSがあるので、今の髪の状態や、髪質、履歴、今、根元はどのくらい伸びていますということを事前にDMで送ってくださる方もいますし、カラー履歴を紙にまとめてご来店される方もいます。もちろん、全てのお客様がそうではありませんが、それだけ、カラーにこだわりを持っている方が増えているというのは日々感じています。

ヘアカラーの呪縛から解放してあげたい
お客様が自由に髪色を楽しんでいただけるようになったのは、美容商材の進化も大きいですよね。

断然そう思います。カラー剤やトリートメント、ブリーチで髪を傷めないようにする添加剤だったり、私たちを支えてくれる美容メーカーさんに底力があることで、私たちも恐れずにブリーチをお客様に提案できたり、ダメージがあってもケアすることができるのです。

今は各メーカーさんたちが開発してくれている商材によって、その人のシーンに合ったカラー剤、ケア剤、デザインが本当にいいバランスで進化していると思います。

アジア人=黒髪とか、黒い髪の毛をホワイトブリーチできないって誰が言ってたんだっけ?白髪って染めなきゃいけないって誰が決めたの?みたいな。もう、そういう時代。80年代にココ・シャネルがコルセットから女性を解放したように、誰が決めたかわからないヘアカラーの呪縛から解き放つことができたら、自分もカラーリストとしてやってきてまた一つ、違うステージに進んでいけるのかなと思います。

kakimoto armsは優秀なカラーリストが多いし、スタイリストも含めて全てがスペシャリスト。だからこそのチームワークで新しい時代を作っていきたいと思うし、作れると思っています。今、お客様のニーズが変化しているということは、まさにそこ(変換期)に立っていると思うので、すごくワクワクしています。

今回はガモウさんからいただいたチャンスをもとに、そのワクワクを色のパワーを借りて伝えたかったのです。同じピンクでもCGっぽいアニメのようなピンクからリアルに落とし込んだピンクまで、一色でも一人の同じ女性が身に纏うピンクでもこんなに違うんだよというのを表現しました。Color your life。あなたの人生を彩る色と、あなたを彩ってくれるパートナーはどこですか、誰ですか?みたいなメッセージを投げかけられたら嬉しいです。私で良ければいつでもお待ちしております(笑)!

自分に向いている、向いていないを早くからジャッジする必要はない
若い美容師さんへメッセージをお願いします!

最初は、好き嫌いなく、幅広くいろいろなことを一生懸命やることによって、だんだん自分の好きなテイストがわかるようになります。好きなことを色々とやって自分の幅を広げ、ベテランになったら自分の得意なものを一点に絞って集中してやっていくと、無理なく自分の好きなことをやりながら、新しいお客様と出会うことができます。

私は自分の意志ではなく、当社の会長に言われてカラーリストになったのですが、30年近く続けてきて、本当にカラーリストで良かったと思える人生なのです。なので、何が自分に向いていて何が向いていないということは、そんなに簡単には判断しないで、興味のあることをたくさんやってみるのがいいのかなと思います。

 

 

COVER LOOK BY
HARUMI IWAKAMI_ kakimoto arms

HAIR COLOR / Harumi Iwakami (kakimoto arms)
HAIR / Hisatoshi Hosohata(kakimoto arms)
MAKE-UP / Tomoyo Nishino(kakimoto arms)
FASHION STYLING / Yumeno Ogawa
PHOTO / Kazuki Sano
MODEL / Serena Yarimizu(STANFORD)
COSTUME / TENDER PERSON, MAISON SPECIAL



岩上 晴美氏
kakimoto arms ヘアカラーマネージャー。日本のヘアカラーリスト第一人者として日本人に似合うカラーを追求し続けてきたkakimoto armsを代表するカラーリスト。カラーセミナー、ヘアショー、撮影、薬剤開発など国内外を問わず精力的に参加。近年では中国、台湾、韓国、タイなどアジアでもヘアカラーセミナーを行い活動の場を広げている。サロンワークではモデル、女優、各界セレブリティーたちから支持されビューティーパートナーとして信頼も厚い。
https://kakimoto-arms.com

 

 

 

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