me time 〜後編〜 PERSONAL 香川 沙耶（モデル）

求められる女性像との
ギャップに苦しんだ時期

今年、27歳になる香川さんは、日本人の父とフィリピン人の母の間に生まれたハーフで、10歳までフィリピンに居住していた帰国子女。芸能界に入ったのは、小学校6年生の時。友人のダンスの発表会でスカウトされたことがきっかけとなった。

当時からカッコいい女性に憧れ、ヘソ出し、ピアス、ハイヒールで通学し、先生とバトルになったこともあったが、「実はシャイで目立つことが好きじゃなくて、芸能界にも全く興味がなかったんです」と振り返る。

身長はクラスで2番目に低かったが、中学生になってから急激に伸び、170センチのスレンダーガールに成長。歌やダンスを中心に活動を始めていたが、世間が求めている女性像と自分とのギャップを感じるようになっていった。

「顔見せに行っても『大人っぽ過ぎる』と見た目と年齢が合わないことでハマる仕事がなくて、下積みが長かったですね」

18歳の時、現在のレプロエンタテインメントに移籍し、本格的にモデルの仕事をスタート。2013年からファッション誌『BLENDA』の専属モデルに抜擢。

「ギャルではなかったので、形から入ろうと109のブランドを全部覚えて、髪の毛を茶色に染めて、カラコン入れてと必死でしたね。だから今、『沙耶ちゃんって、昔、超ギャルだったよね』とか言われると嬉しい。ちゃんと化けていたんだ自分って」

2016年より専属モデルになったのは、働く女性向けのファッション誌『Oggi』。

「また化けなきゃいけないのかと思いました。日焼けをしてはいけなかったし、服もメイクもキレイめ。コンサバはギャルほど簡単じゃなかったので、一回、壁にぶち当たったのですが、最終的にはやりきりました。ギャル通って、コンサバ通って、今は自由！ 今が一番自分らしい」 

「ベストボディ」世界一に輝き
自分らしさの道が開けた

流れが大きく変わったのは、『ベストボディ・インターナショナル2017 ホノルル大会』でグランプリを受賞し、美ボディが世界一と認められたことだ。メディアにも取り上げられ、大会自体の認知度も一気に上がるきっかけを作った。

「私を見て、大会を目指す女性が増えたのは嬉しかった。偉そうに聞こえてしまうかもしれないけど、その時に思ったのは、なんでも一番に成し遂げた人がスゴいんだなってこと。今はキレイな30代を迎えるためにトレーニングをしています」

『ベストボディ・インターナショナル2017ホノルル大会』で グランプリを受賞

以来、水着や下着の広告オファーが増えた。海外では、アメリカの女性向け下着ブランド『ヴィクトリアズ・シークレット』のモデルがトップモデルへの登竜門になっているが、日本ではショーでの水着や下着の着用にNGを出すモデルも多い。

「Noと言わない自分がカッコいいと思う。なんでもできるのがモデルだし、そういう機会のためにどの角度から見られてもいいように準備をしている。むしろ、布をどんどん少なくしてくださいって感じ」

2019年には自身初のヌードを雑誌『コスモポリタン』のカバーで披露。2021年 公開の映画『スパゲティコード・ラブ』では初作品ながらもベッドシーンに挑んだ。

「ヌードを撮った時に、フィリピンにいる祖母に勇気を出して報告しました。そうしたら『あるものは出しなさい！』と言ってくれて。私はここからきているんだなって思いました（笑）。アートとしてカッコよく、話題になるような価値のあるものならいいんです。マネージャーは私をビーチモデルとカテゴライズしていますが、自分が目指すセクシー路線の枠がないなら、枠があった時にはその仕事を全部、私が取るという意気込みです」

週4日のトレーニングは欠かせない習慣

全てがオープンマインドに
なっていけば楽しいと思う

多様化が求められる時代になり、魅力的とされる女性像の概念も変わりつつある。

「女らしいとか男らしいとかは、もはやない。一人の人間として、個性を大事にできたら、皆んなが楽しいし、争いもなくなると思う。全部がオープンマインドになればいい。極端にいうと性の話とかもオープンに。自分の思ったことをはっきり言える、行動できる女性はカッコいいと思う。秘めていると孤独になりやすいから、仲間も見つけやすくなるんじゃないかな」

活躍の幅を広げている香川さんだが、一つの道にこだわりたくはないと言う。

「自分ができることを全部やりたい。今後の夢は？と聞かれたら『すごい人になりたい』ってことだけ。よく分からないけどマインドだけはある。今の時代、年齢とかも関係ないと思うし、タイミングにあったことを挑戦していきたいと思います」