離職率が高いとされている美容業界。 美容師が一生涯、仕事を続けていくためには 働きやすく、働きがいを感じることができる環境を 整えていく必要があります。 美容師のサステナブルな働き方について 一石を投じている企業・団体様に お話を伺い、ともに考えていきます。
Theme #05
社会的養護の子ども、若者たちを
美容の力で支援するプロジェクト『BEAUDOUBLE』②
一般社団法人 BEAUDOUBLE 理事
TWIGGY. 主宰/クリエイティブ・ディレクター
松浦 美穂氏
美容師、ヘア&メイクアップアーティストを経て、1988年に渡英。帰国後、1990年にヘアサロン『TWIGGY.』をオープン。ヘアスタイリストとしてのサロンワークをベースに、雑誌、ウェブ、広告、ショーなどのヘアアーティストとして活動するほか、映画、ドラマ、舞台のヘアディレクションも手掛けている。
@twiggy_mihomatsuura
TWIGGY. サロンスタッフ
佐藤 楽氏
1989年生まれ。山野美容専門学校卒業。サロンワークを中心に映画・舞台・LIVE・PVのヘアメイクにも参加。
@raku_hair_work
https://twiggy.co.jp/
@twiggy_tokyo
前号では、親からの虐待や経済的理由などから「社会的養護」を受け、児童養護施設などに入所している子どもや若者および各施設の職員を対象に、カットやカラー、パーマなどの施術を無料提供するプロジェクト『BEAUDOUBLE(ビューダブル)』をご紹介し、多くの反響をいただきました。今回は、その想いに賛同した加盟サロン様の視点から同プロジェクトの意義を探りたいと思います。『TWIGGY.』を主宰する松浦 美穂氏と同店スタッフの佐藤 楽氏に伺いました。
若い人同士なら、美容の力で
閉ざした心を開くことができる
ーこのプロジェクトに賛同した理由をお聞かせください。
松浦 時は遡り、2011年3月11日。東日本大震災が起きた後、私たちでも「カットやマッサージならお役に立てるかもしれない」とスタッフと避難所を訪れました。そこで見たのは、やけに明るい子どもたちと完全に塞ぎ込んでいる子どもたちの姿。しかし、話を聞くと、実 は明るい子のほうがご両親を亡くされていたのです。「心が壊れる」ということを目の当たりにしました。そして私は「髪を切りましょうか」と自分から被災者に声をかけることができず、ただ立ち尽くすばかりでした。しかし、若いスタッフたちはすぐに動き出し、ひたすらマッサージをはじめていたのです。それを見て感動したのと同時に自分が情けなく感じました。そして、私は「何かをしてあげよう」としていたのですが「してあげるもの」ではないと気づいたのです。
この経験から数年後、佐東 亜耶さん(現:代表理事)から、虐待などを受け、児童養護施設で保護下にある子どもたちの現状を聞きました。そして「彼らをカットで素敵にすることができたら、閉ざした心が開かないかな」と相談を受けたのです。3・11の気持ちが残っていた私は、これは親世代の私が主体ではなく、若い人同士の関わりであれば何かできるかもしれないと思いました。都内の児童養護施設で15人ほど若いスタッフがボランティアカットを行いましたが、想像通り、すぐにコミュニケーションが取れ、行列ができるほど盛況でした。そこから私たちの活動はスタートしたのです。
カウンセリング力がつき
美容師にとって良い育みになる
ー2017年からサロンでの施術を開始。2021年からテストケースとして、対象者は「ビューモデル」という呼称でヘアモデルとなり、担当サロンおよびスタッフを子どもたちが選択できる形に変わりましたね。
佐藤 うちは個性の強いスタッフが多いので、ひとまとまりで何かをすることが大変。いずれ施設に出向くことを負担に感じたり、やってあげているという気持ちが出てきたり、楽しめない感じが入ってくるのではないかと気になっていたのです。その点がヘアサロンで担当する形に変わり、今は個々の時間で対応できるので、ラッキーでした。
また、プロジェクトで施術を担当するのはデビューを控えるアシスタントが中心です。練習のため、街に出てモデルハントをしなくてもいいので、その時間を他に充てることができます。また、うちでは材料費をお店で負担しています。 そして何より、自分に興味がなかったり、コンプレックスを抱えている子ど もたちが「イケてる感じ」に変わり、一緒に盛り上がれることが単純に楽しいです。お客様と違うのは、親の話など会話の中で言ってはいけないワードが一人ひとりあること。嬉しい感情を表に出さない子もいますが、少しだけ笑顔になってくれたり、来る度に言葉数が増えていったり、行動範囲が広がって「就職が決まりました」と報告に来てくれる子がいるのも喜びです。一方的な支援ではなく、互いの成長やモチベーションキープにも繋がり、いい循環で動き続けてくれる仕組みだと思います。
松浦 カウンセリングは教えて学べるものではなく経験あるのみなので、ビューモデルのカウンセリングは、普通では学べない経験値になると思います。現在は、地方でも社会的養護を受ける子どもが増えているので、是非、全国で賛同してくれるサロンが増えていくことを期待しています。システムがしっかりしている大手サロンだけでなく、この仕事を心豊かにやっていきたいと考える個人店と両方に関わっていただくことが大切だと考えます。「心を支える」本質的な美容師さんが増えて欲しいです。
カウンセリングで似合わせを提案
カラーやパーマのオーダーも多い
ビューモデルとTWIGGY.スタッフ
一般社団法人 BEAUDOUBLE
随時、ご協力サロンを募集中
お問い合わせはコチラ
https://beaudouble.com
前回の記事はコチラ
https://www.gamo.co.jp/gamo-news/23657/
ビューモデルの皆さん 撮影:Koji Sato
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