NUMBER_23 松下賢治 氏/ CELL

VISIONARYJul.20.2018

カバー&ヴィジュアルを手がけていただいた『CELL』の松下 賢治氏。
地元 、長崎県佐世保市でキャリアを積み、クリエイションにも情熱を注いできた。フォトコンテストや業界誌等で彼の作品にロックオンした人も多いだろう。設立から8年目。新生 CELLをスタートさせた松下氏に迫った。

流れ着いた先で、自分が夢中になれるものを見つけた

2016年のJHA大賞部門ノミネート、JHA RISING STAR OF THE YEAR/ファッション特別賞をはじめ、数々のコンテストで受賞し、美容業界に存在感を示している松下氏。クリエイションを追求するようになったきっかけは何だったのか。バックボーンを知りたくなった。

「学生の頃は将来のこととか、何も考えていませんでしたね。高校は進学校だったのですが、遊びやバイトに明け暮れていたから、進学出来るような成績ではなかったのです。『手に職を』と言われていた時代だったので、美容師になろうと思って福岡の美容専門学校を受けました。そうしたら出席数が少なくて、落ちてしまったんです」

一年で辞めて美容専門学校に入るつもりで、地元の大型サロンに就職。しかし、店に入ってみると、専門学校で2年間学んだ人より、店で1年働いた人のほうが、仕事ができることに気づいた。

「そこで、俺は長崎を出損なったんです(笑)。スタイリストに昇進し、お客さんも付いてくると、美容業界誌に載っている作品に憧れを抱くように なって 。オーナーから『見 る側より出る側になれ ! 』の 一 言 でコンテストに挑戦するようになったのです。10年間ぐらい、全く結果は出ませんでした。でも、諦めるというより、逆にやめられないと思っていましたね。やめたら、全部失くしてしまうって」

 

「一生涯お客様と過ごす存在になる」を形にした新サロン

2009年、D-1ファイナリスト。2010年、neo anion photo contest グランプリ受賞と次々と結果が出はじめた同年12月に独立。佐世保市内に『CELL』を設立し、8坪の店から4人でスタートを切った。磨いた技術とセンスは評判を呼び、11年9月、40坪の店舗へ移転し、6人に。13年2月、2店舗目となる40坪の店を出店し、10人に。同年12月、店舗展 開をしたことでCELLらしさを無くしていたため、 スタッフと話し合い、2店舗目の方へ統一。拡張移 転を目標に変えた。

そして今年6月、「一生涯お客様と過ごす存在になる」という強い想いを形にするべくMUC(無垢)と名付けた120坪8階建の自社 ビルを建設。1、2階をサロンとし、12人のスタッフと新生『CELL』をリニューアルオープンした。 小さいお子様からご年配の方まで全てのお客様が喜んでいただけるサロンにしたいと、1階は半個室のユニバーサルデザイン仕様に。0歳時から高齢者まで対応できるシャンプー台を設置。バリアフリー化し、小さなお子様がいる母親のためにはベビーカーを置くスペースとトイレにはオムツ替えの台を設置した。2階は通常のサロンスペースとなっているが、可動式のオリジナルミラーやパブリックビューイングが楽しめるよう200インチのプロジェクターを設置するなど、アイデアを出し合って生まれた、こだわりが随所に見られる。

「CELLのお客様限定イベントとして、サッカーワールドカップ観戦も開催しました。東京オリンピックもお客様と一緒に楽しめたらと思っていま す。これからも、こうした交流イベントを増やしていきたいと考えています」

自分の自由でいい、ただそこに一つの情熱を持とう

新店舗の建設を決意したのは、お客様のためでもあるが、一緒に働くスタッフのためでもある。

「ろくでもなかった自分が、美容が好きになって美容業界に助けられた。人生のやるべきことが見 えたのです。だから、恩返しじゃないですが、僕と同じような子たちが育ってくれる場所を作り、仲間を守りたいという想いはありますね」

松下氏が次に考えていることは生涯雇用など企業としての仕組みづくり。

「クリエイターの集まりですが、会社自体はきち んとした一般企業のように週休2日制やボーナスの支給制度を取り入れていくことが次の課題です。これは、僕たち世代に渡ってきた役目だと思っています。今、マネージメントをしてくれている役員のスタッフには、ハサミを置く方向で経営の勉強をしてもらっています」

美容業界だけではなく、 世界的に見ても、スター不在の時代。そして、SNSなどのツールも登場し、経営においても変革の時代を迎えていると松下氏は感じている。

「選択するものが多い時代だからこそ、何を選択するかが一番重要な気がします。何に手をつけるのかはトップの判断。僕は、 設立時からサロン全体でクリエイションに力を入れることで、技術、デザイン力を高め、美容を好きになってもらうことを選択しました。教育方法は変えても、軸はブレずにいたいと思います」

CELLが理念として掲げるのは「3F One Passion」。

 「3Fは、フリー・マインド、フリー・イマジネーション、フリー・ドリーム。自分の自由でいい、ただそこに一つの情熱がないと何も叶わない」。 リニューアルを機に、家紋をイメージしたロゴ に一新。職人さんが着る半纏をイメージし、制服のロングジャケットを制作した。背中にはロゴと「3F One Passion」の文字。「俺たちはあくまで職 人であり、仲間である」。人生において大切なものを心に刻み、新生CELLは次の章へと向かう。

松下 賢治
CELL代表。長崎県出身。2010年、CELL設立。2018年6月、自社 ビル「MUC」を建設と共に拡張移転。2016年、JHA大賞部門ノミ ネート。JHA RISING STAR OF THE YEAR/ファッション特別賞。 https://www.cell-creation.co.jp

CELL
長崎県佐世保市湊町3-14 MUC 1F 0956-80-3826
https://www.cell-creation.co.jp

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