廃棄される髪の毛をリユース  美容師が貢献できる環境活動

美容師の働き方Sep.25.2023


離職率が高いとされている美容業界。 美容師が一生涯、仕事を続けていくためには 働きやすく、働きがいを感じることができる環境を 整えていく必要があります。 美容師のサステナブルな働き方について 一石を投じている企業・団体様に お話を伺い、ともに考えていきます。


Theme #06
廃棄される髪の毛をリユース
美容師が貢献できる環境活動


「海洋汚染の約7割は、油の流出によるものであることをご存知ですか? 実は髪の毛を使って、この問題を解決することができるのです」と発信しているのは『マターオブトラストジャパン』の濱 七彩子さんと舘 香織さん。美容師やエンドユーザーが貢献できる環境活動についてお聞きしました。



マターオブトラストジャパン
濱 七彩子氏
南米先住民の伝統バッグ「CHILA BAGS」の輸入販売と、二子玉川でカフェ&セレクト「Shiki地水火風空」を経営。オーガニック食材を使用したカフェと環境に配慮した商品や女性のエンパワーメントを高めるアイテムの販売を行う傍ら、モーリシャスの座礁事故をきっかけに2021年からマターオブトラストの活動を開始。


マターオブトラストジャパン
舘 香織氏
環境課題が数多くある中、自分でなにか面白みをもちながら活動出来るものはないかと探していたところ、米国マターオブトラストの情報を知り、2023年1月より日本支部で活動開始。平日は渋谷で働く会社員をしている。


髪の毛が油を吸着することに着目
ヘアマットで海を浄化する活動

ー『マターオブトラスト』とは、どのような団体ですか? 

 1998年に設立したNPO法人『マターオブトラスト』は米国発祥の環境活動団体です。1989 年、アラスカのプリンスウィリアム海峡で海洋原油流出事故が起きました。その時、米アラバマ州の美容師、フィル・マックローリー氏がニュースで油まみれになっているカワウソを見て『人間の髪の毛も油を吸着することができるのではないか』というひらめきが生まれたのです。そして、髪の毛で作られたヘアマットが、ポリプロピレンのオイル吸着マットと同等の効果があるというエビデンスをNASAの研究機関が取得。20 年前からマターオブトラストがフィル氏のプロジェクトを引き受けています。現在、世界14カ国以上のグローバルパートナーがおり、各地域で座礁事故などが起きた時に地元の方々と協力してヘアマットを製作し、活動に役立てています。

ー日本支部を設立された経緯をお聞かせください。

 2020年7月、モーリシャス海洋原油流出事故があった時にネットで話題となり『なんて素晴らしい活動なのだろう』と感銘を受けたのです。そして、私でもできる活動はないか本部に連絡を取りました。Zoomでやり取りを重ね、2021年6月に日本初の拠点として活動を開始しました。しかし、ステイホーム期間に入ってしまったため、仲間や近くのサロンさんに呼びかけをしてヘアマット製作を行なっていました。今年に入って、『Twiggy.』の松浦 美穂さんが様々な方に呼びかけをしてくださり、社会活動家の方がYouTubeで活動内容を紹介してくださったこともあって、学生や美容師さんのボランティアが増え、ここ半年で一気に活動が活発化してきています。

10センチ以上の長さがあれば
誰でも環境活動に参加できる

ーヘアマットを作るのにどのくらいの髪の毛が必要ですか?

 2.5〜10センチの短い髪の毛と10センチ以上の長い髪の毛を機械で編み込むようにして作ります。米国の基準で60×60センチで重さ900gの髪の毛を使うという規格がありますが、日本で集めた髪で規格通りに製作すると厚みが出てしまうため量は調整。サイズも使い勝手がいいように、30×30センチで製作しています。 ー現在どのような支援が必要ですか? 濱 寄付に関するお問い合わせを多くいただいているのですが、十分な作業スペースが確保できておらず、短い毛と長い毛を振り分ける作業も大変です。そのため、現在は不足している10センチ以上の長い髪の毛のみを郵送で受け付けています。今後の受付体制が整いましたらインスタグラムでご案内させていただきます。 舘 ヘアマット製作にもご協力いただいている『Twiggy.』さんでは『ヘアドネーションは30センチ以上の長さが必 要ですが、10センチ以上あれば環境活動に参加できますよ』とお客様に呼びかけていただき、事前に振り分けて送っていただいています。SNSで知ってくださったエンドユーザーからも『髪が傷んでいてヘアドネーションはできなかったけれど、使い道があって嬉しい』等、手紙を添えて送ってくださる方もいます。


専用機械を使って ヘアマットを製作しています


遊び心のあるヘアマットを 作っていただいた『Twiggy.』スタッフ

ー日本での活動事例を教えてください。

 今年6月から、かつて秋津油田があった新潟市秋葉地区で油噴出の調査とヘアマット試験を実施しました。また、7月末に開催された『フジロックフェスティバル’23』(苗場)では、屋外に設置されるフードエリアの流し台から流れる食用油をヘアマットで吸着し、油成分を除去した水を戻す仕組みを試験的に導入していただきました。野外フェスに参加したのは、若い世代にも、自分事として環境問題に興味を持っていただきたかったからです。日本の活動はまだ試行錯誤の段階です。これから実績を積み重ね、ノウハウを各地域のパートナーと協力しながら、ローカライズした活動をそれぞれが行なっていく仕組みを作りたいと思っています」


『フジロックフェスティバル ’23』の フードエリアで行なった実証実験





全国からメッセージとともに多くの髪の毛が送られてくる


【髪の毛を寄付いただく際のお願い】
乾いた状態の10cm以上の髪(ゴミや短い毛が混入しないよう仕分け)をビニール袋等に入れ、3辺合計80cm以内のダンボールまたは封筒にて郵送、メール便にてご送付ください。


マターオブトラストジャパン
〒158-0095 東京都世田谷区瀬田2-12-15

@matteroftrustjapan

 

 

 

 

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