外国人美容師を育成する 一般社団法人 外国人美容師監理実施機関

美容師の働き方Dec.06.2023


離職率が高いとされている美容業界。 美容師が一生涯、仕事を続けていくためには 働きやすく、働きがいを感じることができる環境を 整えていく必要があります。 美容師のサステナブルな働き方について 一石を投じている企業・団体様に お話を伺い、ともに考えていきます。

Theme #07
5年、10年先の美容業界のために

可能性を広げるきっかけ作りを



一般社団法人 外国人美容師監理実施機関
理事長
村橋 哲矢氏

京都府出身。100年以上続く歴史ある美容室の家に生まれる。大学卒業後は金融系企業勤務を経て家業を継承。現在、東京都港区高輪で総合美容室を経営する傍ら、がん患者へのアピアランス・ケア、貧困家庭のこども美容無償化などの美容師の社会貢献や、VR動画による技能教育など業界のデジタル化といった美容業の未来に向けたプロジェクトを実施。

外国人の就労に関する在留資格は技術・国際業務・人文知識などに限られ、これまで外国人が美容師として働くことはできませんでした。2021年に厚生労働省が「国家戦略特別区域 外国人美容師育成事業実施要領」を発表、外国人に「特定美容活動」としての在留資格が認められるようになり、東京都は全国で初めて特区活用を認定されています。今回、本事業の監理実施機関である「一般社団法人 外国人美容師監理実施機関」の理事長、村橋 哲矢さんにお話を伺いました。

労働力としての雇い入れではなく
技術・文化の伝道師を  育成

ー外国人美容師育成事業の立ち上げのきっかけと目的を教えてください。

村橋
 美容を学ぶ留学生はたくさんいるのですが、日本で資格を取得しても働くことができないため、資格を取得せずに帰国する人がほとんどです。この矛盾を解消すべく東京都の美容組合が働きかけたのがきっかけとなり、今回の事業につながりました。ゼロから技術を学ぶ技能実習生と誤解される方も多いのですが、外国人美容師育成事業はすでに国家資格を取得した外国人が対象です。また、労働力として雇うのではなく育てていくというスタンスなので、美容師育成事業としているんです。最大5年間の在留期間中に実地での経験を積んでもらい、日本の美容技術や文化を学んでもらう。さらに、自国に戻って日本の美容文化「クールジャパン」を伝えてもらうという狙いがあります。

ー受け入れ先のサロンはどのような条件や対応が必要になるのでしょうか。

村橋 受け入れるサロンは育成機関と呼ばれ、まずは教育カリキュラムなど育成する能力があるか、そして5年間安定的に経営できる能力があるかなどの要件適合確認を受ける必要があります。当機関は要件を満たした育成機関をホームページで公表し、就職希望の外国人美容師とつないでいます。育成機関は採用後も育成計画の申請や育成状況の報告が義務となり、当機関の監査を受けたり、外国人美容師の日常生活の相談などにも乗ることも必要になってきます。登録や手続きなどのために年10万円程度かかることから、育成機関の負担は決して軽いものではありません。

それでも受け入れを決めてくれるサロンさんはインバウンド需要や、海外出店などを見据えた先行投資の意味も込めての参加、自身がかつて海外で技術を学んだ恩返しとして次世代の美容師の役に立ちたいという方のほか、すでに外国人の美容学生がアルバイトで働いており、引き続きその学生にサロンで働いてもらいたいという例などがあります。

多様化する未来へ向けた
アクションのきっかけにしたい

ーこの事業が今後の美容業界にとってどのような役割を果たすとお考えですか。

村橋 日本を訪れる・暮らす外国人が今後増えていく中、サロンのお客様も外国人の方がこれまで以上に増えていくことが考えられます。日本で働く外国人の方にとって、美容師という道が職業を選ぶ際の選択肢の一つになればよいと思っています。日本の美容業界に魅力がある限り、海外から日本に来て学びたいという人は増えるはずです。ですから、この制度が成功するかどうかが、今後の美容業界の発展や成熟を計る指標となると思います。多様化する未来に向けた準備をしなければいけない今、この制度がサロンにとって未来に向けたアクションを起こすきっかけとなるよう願っています。

ー最後に美容師の方にメッセージをお願いします。

村橋 今回の外国人美容師の誕生をはじめ、AIによるカウンセリングができるようになるなど、美容業界もどんどん変化を遂げています。目先のことではなく、5年後、10年後を見据えてこの業界をどうしていきたいのか、自分がどうなりたいのかを考える必要があると思っています。日本の美容教育はいかに楽しく効率よく学べるかに注力するあまり、自分で考える力を削いでしまっている気がします。技術を学ぶことはもちろん大切ですが、ボランティアでも美容以外の学びでもよいので、その人自身の資質を向上させる時間も持つようにしてほしいですね。幅広い視点を持った美容師が美容業界を豊かにしてくれると、私は信じています。


TAYAルミネ池袋店 尚 海儀


(株)田谷に入社した外国人美容師

外国人美容師監理実施機関では美容業界の課題にフォーカスしたセミナーなど支援事業のご紹介も行っています。

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