GAMO NEWS、今号のテーマは「Best of me!」(最高の私にして!)。カバー&ヴィジュアルは、TBC エリアサーキット2018の審査員としてもご活躍いただいた『KOCHAB』山田 誠氏。持続性、再現性、似合わせに定評のある独自のカット技法から生まれたクリエイションをお楽しみください!
KOCHABは色々なプロが携わって「生活をデザインする」ことを理念としているサロンです。今回の撮影も美容師とカメラマン、スタイリストという多種のクリエイターが集まって、モデルを活かすことにフォーカスした「Best of me!」作品を創りました。
サブテーマとしたのは「フォルム」です。奥行きを出し、ヘアの立体感や場の空気、匂いなどが感じられるようなフォト作品にしたかったので、チームで何度も話し合い、たくさんのアイデアの中から、それぞれの良さを活かしつつ引き算をしていきました。
カットは、黒バックのモデルは縦の方向性、白バックのモデルは横の方向性にボリュームを持たせています。モデルに焦点を絞るため、カラーに強い色は入れず、メイクもツヤ感で光の明暗を出す程度に。全体をやり過ぎず、メリハリをつけることで目をどこにいかせるかを考えました。僕のクリエイションはサロンワークの延長線上なので、モード過ぎず、ナチュラルな女性像に仕上げています。
表紙の作品
中面の作品(右)
中面の作品(左)
サロンスタイルの撮影は、スタッフが積極的に行い、SNSで発信しています。今はお客様もSNSにポストされた画像をお持ちになる方が多いので、SNSは集客の要だと思っています。ですが、僕たちは、SNSを見て来店されたお客様に、どうカウンセリングで対応するかを重要としています。
カウンセリング時、「長さをどうしますか?」と方法から聞く美容師さんが多いと思います。僕はカウンセリングというよりヒアリングに近くて、「今日はどんな気分ですか?」「どんな風になりたいですか?」と、その人の内面にあるものを色々と引き出して、ゴールを共有します。
それは今回のような撮影でも同じで、モデルさんにどうなりたいかを聞いた上でカットをしています。
当サロンは、お悩み解決のカットを得意としています。襟足が跳ねてしまう。前髪が分かれてしまう。トップが潰れてしまう。毛量が多い…。例えば、毛量が多いというお悩みの場合は、毛先を梳いて先細らせてしまうのではなく、毛先の厚みは残しつつ、触ると毛の量がないという毛量調整の仕方だったり、お悩み解決のバリエーション多く揃え、今まで無理だと諦めていたスタイルも可能性がぐっと増えるような提案をしています。
また、僕はミルボン『ジェミールフラン』のシャンプーとトリートメントの開発にも携わっているのですが、ケアの知識も当スタッフは熟知しています。
お悩みは、カットで解決できるものもあれば、ケアの部分から解決できる方法もあるので、プロとして多くの引き出しは持っていなくてはならないと思っています。
当サロンの中では、「こういう風になっていたところを、こうやって切ると、お悩みが解決できました」という風に、スタッフは技術オペレーションに対して、会話のオペレーションをすることも決まっています。
それと、技術オペレーション+物販オペレーションですね。僕らは、商品を売っているのではなく、商品の使い方と信頼を売るのだという意識を持つように言っていますし、早いうちからトリートメント力、物販力をつけ、プロの美容家として育てることを意識しています。
物販を売りっぱなしだと、その時点でストーリーが終わってしまいます。リピートの時のカウンセリングこそ、一番大事。当店では、カルテの書き方のルールもあります。
お客様の生活をデザインするがコンセプトなので、毎日どのようなケアをされているか、生活に寄り添い、より良くするサポートができるよう心がけています。
僕らは国家資格を持った美容のプロなので、自信を持つこと。例え、ネットの方が安くても、この人から買うという状態にしていかないといけないと思っています。
僕らの世代は「背中を見て覚えろ!」が当たり前でした。
ですが、僕らが商材の進化とともに覚えてきた技術を、今の世代は一気に覚えなくてはいけないから、数倍も大変なんですよね。
だから、当サロンでは教科書を作り、プログラムを約2年で受かるよう設定しています。
上に立つ店長は目標を一緒に立て、常にそのスタッフに寄り添いながらサポート。月末にできていないと注意するのではなく、ハードルが高すぎると思ったスタッフにはステップを低くしてあげて、できるだけ成功事例を重ねられるようにやっています。
野球に例えたら、技術はスキルなのでもちろん大事です。実はスコアにあたる数字も大事で、自分がどの立ち位置にいるのか把握して、しっかり目標を立てなくてはいけない。そしてルールは、皆が幸せになれるものを出し合って決めればいいというスタンスでやっています。
僕は美容師の家に育ったので、美容師になりたいとかではなくて、美容が生活の一部でした。だから、美容を楽しむということが文化につながると思っているのです。
プライベートと仕事は分けたいと考える人もいると思うのですが、何かを生み出すクリエイティブな仕事はプライベートの中からヒントを得ることが多いと思うのです。この本いいな、この映画いいな、この人の話は素敵だなとか、そういうのが活きていくのが美容師の仕事だと思っています。
サロンワークも毎日の繰り返しではなく、僕らがどういう風にお迎えして楽しむのかが大事。当サロンは、あえて堅苦しいお客様扱いはせず、フランクに接するようにしています。
生活の中に美容は欠かせないし、とても楽しいもの。その全てを、お客様と一緒にまるっと楽しんでください!
COVER LOOK BY
山田 誠_KOCHAB
HAIR/MAKOTO YAMADA(KOCHAB)
MAKE-UP/ERI ITAHANA(abiquiu)
FASHION STYLING/SAEKO SUGAI
PHOTO/YUKA UESAWA
MODEL/NAGISA、SONIA
1975年生まれ。1996年、中日美容学校(通信科)卒業。1997年、PHASE入社。2007年に愛知県名古屋市に『Lian』を開業。2009年にフレンチレストランとコラボレーションした『KOCHAB』拡張移転。2016年、名古屋市栄に2店舗目『krabat by KOCHAB』をOPEN。2017年、東京・原宿に3店舗目『abiquiu』をOPEN。
http://www.kochab.jp
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