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未来をつくるキーマンたちへのインタビュー vol.1

ヘアサロンインタビュー
Aug.4.2025

SNIP STYLE 2021年7月号掲載 取材・掲載協力 株式会社コワパリジャポン

SHOWA → HEISEI → REIWA
未来ある美容業界、その先へ!

混沌とした不安を抱える美容業界の未来を明るいものにするため、美容業界の60年を見てきた蒲生茂氏をナビゲーターに、今の世代をリードする美容師にインタビュー。第1回目のゲストはLECO 内田聡一郎さん!

多様性…で片付けず、
もう一度「素敵な美容師の理想系」を構築していく時期。

内田聡一郎

蒲生 内田さんは美容師としてもう20年くらいにはなりますか?

内田 はい。東京で美容師を始めて21年ですね。当初からずっと「美容師は表現者であれ」という気持ちを大切にしてきました。どんなヘアスタイルにも自分の“しるし”を付けるというか。ヘアデザインを通して“自分らしさ”を伝えることにずっとこだわってきました。

蒲生 なるほど。21年前というと2000年です。美容業界でも世界規模で様々な行事がありました。ベルリンの壁が崩壊して約10年、ICDの世界大会や国際見本市がベルリンで開かれ、日本からも大勢行きました。当時日本ではカリスマブームに続いてカラーブームが起こり、美容業界がとても盛り上がっていました。2004年頃は美容学校の生徒も全国で24,000人ほどいましたね。

内田 確かに華やかな時代でした。色々な雑誌やTVに美容師がたくさん出ていたし。その影響で僕も東京の原宿で勝負したいと思ったんです。

蒲生 内田さんは美容師になった当初からメディアに出たいというような願望があったんですね。

内田 はい。初めて大きなヘアショーを見に行った時、パフォーマンスがすごくカッコいいなと感動したんです。美容師って、表舞台でもここまで華やかにできるんだというのをまざまざと見せつけられて、憧れましたね。

蒲生 僕は美容師さんがやりたいことを叶えるため、色々な美容師さんから発想を得て新しいイベントを開催してきました。美容師さんの個性を伸ばす場としていち早くスタジオを作ったのもその一環です。

内田 大きなステージを美容師が自分たちだけで作ることは難しいから、作ってくれる方たちがいて、そこに抜擢されたからこそ色々なことができたと感謝しています。今は美容師が自主的にSNSで様々な発信をできる時代ではありますが、正直感動の大きさが小さいというか。やっぱり多くの方たちが関わってセッティングしてくれる環境があってこそ、大きな感動を呼ぶことができるのではないでしょうか。そこに抜擢されるのは、とても光栄なことですし、表舞台でも輝くという選択肢もとれる美容業界であってほしいと願います。

蒲生 輝ける場というと内田さんは昨年のJHA大賞部門のグランプリ受賞でさらに注目を集めましたが、どんな感動がありましたか?

内田 コロナ禍ということもあり、美容師として大事なことはなんだろうとか、サロンワークが当たり前にできなくなった状況の中で、自分は何を大事にしていくべきか考えた時期でした。そこで本質に戻る=表現者である、ということを頭に入れて取り組んだ結果、グランプリをいただけたことは本当に自信になったんです。セレモニーを配信で見たという人も多く、美容学生や僕のお客様も見てくれて、JHAというすごい賞があることを知ってくれるきっかけになったと思います。そのタイミングで僕がグランプリを獲れたことに運命を感じました。

蒲生 新しい時代の息吹みたいなものですね。それがJHAの良さでもあります。

内田 はい。僕はすごく感動してステージで泣いてしまいましたが、そういった“熱量”を目の当たりにできる機会を作っていただけたので、色々な方たちから感動したと言われてとてもうれしかったですね。

蒲生 人は感動のために生きているとも言えます。そのためには、お祭りも大切なんです。それが今はコロナ禍でなかなか難しい状況ですが…。JHAは今後も、美容師さんたちが必要としてくれる限り続けていく予定です。ところで内田さんは今の美容業界をどう見ていますか?

内田 2000年代、2010年代、2020年代で、明らかに変化しています。僕もその時代を思いきり駆け抜けてきたからこそ、それぞれの時代の良さも感じていますが、仰るように近年はコロナも含め毎年変化が激しすぎて予測不可能です。美容室も雇用形態を含めて多様化した中で、美容師の「こうあるべき」という理想像の選択肢が増えていて、雇う側と雇われる側のマッチングが本当に難しい時代になりました。たとえば以前は、原宿界隈ならメディアに出るとか、ブランドサロンで働くということが1つの目標になっていた時代でしたが、今はそういうことに興味がない人も増えましたし、かといって他に強い目標が見えにくい。多様性という聞こえのいい言葉で片付けないで、「素敵な美容師の理想形」というのをもう一度、美容業界全体で構築していく必要があると思っています。

蒲生 技術だけあってもお客様はつきませんからね。クリエイティビティや人柄も含めて初めて「素敵な美容師」になれるのです。だから内田さんがやっていることは誰にでもできることではなく、唯一無二。そういう意味で、美容の仕事は廃れないと思っています。

内田 ありがとうございます(笑)。今はインターネットが発達し、お客様の美容知識レベルが以前よりすごく上がりました。トレンドも美容師とほぼ同じスピード感で知っています。もっと勉強していかないとお客様に追い越されてしまうので、勉強するコンテンツがすごく増えましたね。様々な変化に伴い進化が必要ですから、LECOでは自分で学ぶ姿勢をいかに育んでいくかを課題にしています。

蒲生 これから5年10年、色々な変化の流れはあると思いますが、僕は結局オーソドックスな美容室が勝つと思っています。60年間僕がやってきた中でも、本質的なものは何も変わっていないと感じています。内田さんは、これから先の美容業界はどうあるべきだと考えていますか?

内田 やはり成り手が多い業界であるべきだとはいつも思っています。そのためにも、高校生や美容学生が、今第一線で活躍している人たちを見て自分もああなりたいと思える業界であれば、必然的に成り手が増えていくのではないかと。僕も20年前にメディアでカッコいい人たちの存在を知ったから美容師になったので、今度は僕がそちら側に立って、カッコよくありたいですね。

蒲生 今では美容学生は17,000人ですからね。根底として業界全体が活気に溢れなければいけないと僕も思っています。これからの内田さんが楽しみです。今の時代、70歳くらいまで現役を続けていただきたいね。

内田 はい(笑)。できる限りハサミを置かずにがんばりたいです。今年で創業4年目なのですが、10年20年30年生き残る美容室になるために大事なことはなんでしょうか?

蒲生 「自分の信念を通すこと」そして、複数の人がいるサロンづくりをするのなら「とにかく人を大事にすること」です。内田さんは人懐っこくて才能もあり、チャンスは掴んだわけだから、そのチャンスを今以上に生かしてほしい。そして魅力的な美容業界の未来をつくって行って欲しいですね。

内田 はい、がんばります! 蒲生会長、今日はエールをいただきありがとうございました。

60年間、美容の本質は変わっていない。
自分の信念を貫き、人を大事にしてほしい。

蒲生茂

内田聡一郎 氏

LECO代表。神奈川県出身。国際文化理容美容専門学校卒業。2018年3月東京・渋谷にLECO(レコ)オープン。2020年4月にQUQU(クク)オープン。2021年3月にoben(オーベン)オープン。サロンワークを中心に、雑誌撮影、セミナー講師、コンテスト審査員、ヘアショー、商品開発、DJ、イベントオーガナイズなど幅広く活躍中。Japan Hairdressing Awards 2020大賞部門グランプリを獲得。

Photo / Sugano Yukie

取材・掲載協力

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