SNIP STYLE 2021年8月号掲載 取材・掲載協力 株式会社コワパリジャポン
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未来ある美容業界、その先へ!
先の見えない不安を抱えながらこれからの美容業界はどうあるべきなのか。どんなことを残し、何を変えていけばいいのか。昭和〜令和までの60年間、美容業界を見てきた蒲生茂氏がナビゲーターを務めるトーク連載の第2回目のゲストはUMiTOSの砂原由弥さん。彼女が美容の力に期待する想いとは…。
「愛と共生」をベースに
人を想う気持ちを持ち続ければ
美容は何があっても大丈夫。
砂原 由弥
蒲生 砂原さんの20代、30代はどのような日々でしたか。
砂原 美容師は若い年齢から始める職業なので、最初はデザインから入っていくものですが、私も20代の頃は擦り切れるくらいデザインを絞り出し、作品づくりと向き合っていました。30代に入るともっと「公的」な目線が生まれ、これをつくることでどんな影響があるのか、自分はどうあるべきかを考えるようになったんです。そう考えると、蒲生会長は長年、人を育ててこられ、まさに「公的」な働きをたくさんされてこられたんですよね。
蒲生 美容師さんからこのような評価を受けたのは初めてですね。うれしいです。僕は昨年で美容業界歴60年になりましたが、これまで素敵な美容師さんにたくさん出会ったことが、当社の方向性をつくってくれたと思っています。
砂原 がっちりと美容師をサポートされているから繁栄されたんですね。私は映画やドラマのヘアメイクの仕事もずっとやらせていただいているのですが、ヘアメイクは相手が求めるものをつくる仕事。相手側の想いに寄せることが大切なんです。その意味で美容師の想いを汲み取ろうとしてくださるディーラーさん側の気持ちが少しわかります。特に蒲生会長は美容師から信頼され、美容師と共に大きくなっていかれたのだと思います。UMiTOSの社訓は「愛と共生」なのですが、蒲生会長はまさにそれを体現されている方。会社が大きくなっても軸がブレない秘訣は何ですか?
蒲生 当社には社訓や社是のようなものはなく、それぞれ自由でいいと思っているのですが、1人1人が自分の仕事をまっとうし、楽しく幸せな人生を送ってほしいと願っています。思うようにならないことも多々ありますが、僕はあるべきものを否定しない。そうやってお客様のニーズに応えているうちに大きくなりました。
砂原 人を想う心があるから社員の方も美容師もついてくるんですね。何かモットーのようなものはありますか?
蒲生 近江商人の商いの精神を表す言葉に「売り手よし・買い手よし・世間よし」(三方よし)というのがあり、僕はその精神を大事にしています。今は世の中がコロナ禍で自分は何も悪くないのに商売が立ち行かないという状況もあると思いますが、今こそこの困難を乗り越え、立ち上がらなければいけません。コロナが落ち着けばまた違ったあり方が現れ、希望はすごくあると思います。砂原さんのお店はコロナ禍の影響でどうですか?
砂原 ヘアメイクの仕事は減りましたが、逆に今まで予約が取りづらかった方に来ていただけるようになったので、ありがたいことにヒマにはなってないんです。世の中の流れのままにいることも大事だし、目の前のことをきっちりやっていれば、そこから新しいものが生まれてくることもあります。物事に執着しすぎず、起きたことと向き合いながら次を見て、自分が変わっていこうと思っているんです。
蒲生 素晴らしいですね。美容師というのは、なくてはならない存在なのだから、我々もそうなのだと。

砂原 美容ってすごく力があって、何があっても大丈夫だと思っています! どんな時代であっても、どんなに歳を重ねても、人を想う気持ちは色褪せないんですよね。人を想う気持ちを持ち続けていれば、そこから色々なアイディアと閃きが生まれ、人をワクワクさせることができると思うんです。
蒲生 髪が伸びたから切る、だけではなく、美容は文化なんですよね。
砂原 そうですよね!うちではここ10年ぐらい22,000円の『スペシャルプロデュースカット』が大人気なんです。私はいろんな業界でプロデュースのお仕事をさせていただいているので、その経験を生かして始めたんですが、お客様の目的、特性を考え、希望を叶えるためのメニューです。役者が衣装を着るとその人物になりきることができるように、ヘアメイクにもそういう力って絶対にあるんです。自分の中に隠されている能力を見つけに来られるお客様も多く、生涯顧客としてお付き合いできますし、コロナ禍でも強いんです。
蒲生 砂原さんの人柄で、人との出会いもチャンスもたくさん巡ってくるのだと思いますよ。
砂原 ほんと人に恵まれてありがたいと思っています。
蒲生 僕は美容ディーラーとして砂原さんのような素晴らしい美容師さんとお付き合いさせていただいていることが誇り。砂原さんは天才肌だなと感じています。
砂原 恐れ入ります。母も現役の美容師なのですが、母は昔から明るく一生懸命に働いていました。くよくよしないんです。人との出会いを呼び寄せる不思議な力があるんですよね。そこは母と一緒なのかもしれません。

蒲生 砂原さんはこれからはどんな美容師でありたいと考えていますか?
砂原 蒲生会長のように、人を想う気持ちを大切に、「見えないもの」をより大事にできる人になりたいと思います。今までは「見えているもの」が「見えないもの」と同じくらいの評価でしたが、時代が変わり、「見えないもの」の力のほうが大きくなってきている気がします。私は人を仕立てる仕事をずっと真面目にやってきて、「見えないもの」を大事にしてきました。今日、蒲生会長にお会いして、蒲生会長も「見えないもの」を大切にしてこられた方だと感じ、自分がやってきたことが正解だったと確信できて勇気をいただきました。
蒲生 こういう方が美容業界にいてくれるのは本当にいいことですね。
砂原 これからは形ややり方よりも「あり方」が大事にされる時代になるのではないでしょうか。UMiTOSでは食育(シェフを置いてスタッフに食事を提供すること)を8年間やってきて、スタッフを甘やかしすぎだという批判もありましたが、これもコロナ後に評価されるような気がしています。「愛と共生」、そして調和とか協調性とか、そういう「あり方」を大切にしたいです。
蒲生 自分が豊かになることが大事な人もいれば、砂原さんのような「気づき」を大事にする人もいて、それは人それぞれ。ただ、こういう考え方ができること自体が幸せなのだと思います。見えているものがすべてではありません。コロナだって見えないけれど存在しています。コロナ禍となり、ある意味これまでにない体験をしているわけで、自分の思うようにならないことを受け止め、打ち破っていってほしいと思います。
砂原 本当にそうですね。私はお客様はもちろん、ヘアメイクや撮影などをたくさんやっているので、ややこしいことが好きというか、困難を乗り越えるのが好きというか…(笑)。なので若い美容師たちにも、コロナに負けずに擦り切れるような想いで職人として、デザイナーとしての自分を追求してほしいです。
蒲生 常に難しいことが好きというのはわかる気がします。全力で戦うことで自分の中の何かを発見することができます。
砂原 今日は蒲生会長とたくさんお話できて、本当にうれしかったです。ありがとうございました。
コロナ禍はこれまでにない体験
思うようにならないことを受けとめ
打ち破っていって欲しい。
蒲生茂


砂原由弥 (すなはらよしみ)
東京・表参道「UMiTOS(ウミトス)」と千葉県南房総白浜「海と砂原美容室」代表。ヘアメイクアップアーティスト、人物デザイナー、慶應義塾大学特別講師、NHK大河ドラマスチール担当、G20ヘアメイク参加、芸能プロデュース、メンタル心理カウンセラー&セミナー講師、介護美容&管理美容資格取得。商品プロデュースなど幅広く活躍中。
Photo / Sugano Yukie
取材・掲載協力




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