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未来をつくるキーマンたちへのインタビュー vol.6

お知らせ
Oct.14.2025

SNIP STYLE 2021年12月号掲載 取材・掲載協力 株式会社コワパリジャポン

SHOWA → HEISEI → REIWA
未来ある美容業界、その先へ!

2016年に独立し、都内に2店舗を展開しているサトーマリさん。早くから独創性の高いデザインで頭角を現し、オーナーとなった今も多方面で活躍し続けている。しかし、新たな悩みも多いそう…。そんなサトーさんに蒲生会長が助言します。

お店を長期的に続けていくには
自分の行動あるのみ。
リスクを負った方が
得られるエネルギーも大きい

サトーマリ

蒲生 サトーさんは、難しいテーマを紐解いて様々な女性像の作品をつくり上げている印象があります。

サトー ありがとうございます。以前、在籍していたお店は撮影依頼がとても多く、私もたくさん担当させていただきました。独立してからは「,et(エト)」というクリエイティブチームを他サロンのメンバーたちと一緒に立ち上げて活動しています。サロンスタイルもクリエイティブスタイルも両方できるということを強みにしてきました。でも、コロナ禍となった今では、コンテストに応募する人もさらに減っていると思いますし「クリエイティブとは何なのか?」という線引きがだんだんとあいまいになってきていると感じています。

蒲生  サトーさんにとってのクリエイティブとは何ですか?

サトー クリエイティブをやったらこれが得られるという「対価」ではなく、自分が成長する過程としてクリエイティブは必要なのかなと思っています。特に後輩を指導する年齢になった今、すごくそう感じていますね。

蒲生 さらにオーナーとなってから、以前と変わったことはありますか?

サトー 独立して自分でお店を切り拓かなければならなくなり、ディーラーさんやメーカーさんなど、外部の方々との関わりが本当に大切なのだと実感しています。スタッフ教育も含め、1からお店づくりを模索し続けている状態です。

蒲生 そんな大変な日々の中、お子さんも産まれて、仕事と家庭を両立されているのは素晴らしいですね。

サトー いえいえ。でも女性がずっと活躍し続けるのって本当に難しいと思うんです。男性は女性に指示されるとイヤという人もまだまだいますし、そこは抗えないのかなと…。自分がサロンのトップになってしまったので、もどかしく感じることもあります。自分が女性だから一回引かなきゃいけないのかな?男性だったらそういう考えにならなくて気楽なのかな?と思うことも多々あります。

蒲生 男性は気楽だと思いますか?

サトー そうですね…、気楽とまではいかなくても、男性を見ていると男性のほうがやりやすいのでは、と感じてしまいます。

蒲生 男性は自分で決めようという意思が強いですからね。自分がやりたいことは押し切ってしまうという…。

サトー なるほど。そうですよね。

蒲生 女性は妊娠・出産のタイミングで一度、仕事から離れなければいけないから、それは確かに大変ですよね。

サトー 今、上の子が5歳で、2人目を妊娠中なのですが、「子どものために生きる」ということがどうしてもできないんです。子どものために自分の仕事やお店、生活を犠牲にするということができない。私が、子どもが欲しいから産むというより、私が産むことによって他の人が楽になったり、お店がステップアップするのなら産みましょう、という考えにしか行き着かないんです。

蒲生 人は千差万別、1人1人みんな違う人生を歩んでいて価値観も様々ですから、その考えもアリだと思いますよ。

サトー 実は2人目を産もうと思ったのも、一度自分がサロンからいなくなったほうがいいのではないか?という思いが強かったからなんです。

蒲生 産休を取るということですか?

サトー はい。独立してからの5年間ずっと走り続けてきました。自分が成長すれば自分のお店は成長できたんです。でもスタッフも同じように成長しているかといえば、そうではないことに気づきました。かつて私もそうでしたが、有名になりたい、雑誌に載りたい、SNSのフォロワーを増やしたいという欲が強く、サロンワークよりもそっちに重きを置きがちなのではないかと。それと、新人、アシスタント、スタイリスト1年目、中堅スタイリスト、家庭を持つスタイリスト、みんなそれぞれにやりたいことが違いますし、それを受け止めるこちら側にも限度があります。みんなが楽しめればいいかなという思いもありますが、どういう方向性に導けば全員が納得いくのかを見つけることはとても難しいですし、これをやればみんなの士気が上がるという方程式もありません。そこで、一度、私が全くいない時間を作れば、全員がステップアップできるのではないかと考えたんです。

蒲生 スタッフの起爆剤のための産休ということなんですね。

サトー そうです。最初の妊娠で自分のお店を軌道に乗せ、次の妊娠でスタッフのモチベーションを上げられたらいいなと思っています。自分のお店を長期的に続けていくには自分の行動あるのみ。リスクを負ったほうが得られるエネルギーも大きいのではないかと。

蒲生 確かに。リスクを避けるよりも追い求めるのが正解かもしれませんね。オーナーがいない瞬間が大事な時間になると思います。どれくらいの期間、お休みを取る予定ですか?

サトー 最低でも半年は休もうと思っています。怖い気持ちもありますが…。

蒲生 世間並に1年半くらい休んだほうがいいのではないですか?

サトー そんなに休むと私の精神がおかしくなりそうです(笑)。ただ、今と同じペースで復帰するかはわかりません。お店が大丈夫なら週3とか週4で復帰するという選択肢もあると思います。

蒲生 それもいいですね。違う何かに出会ってやりたいことが他に見つかるかもしれませんし。どんな形であれ、美容という仕事は生涯続けていけますし、1人でも成り立つ仕事でもあります。

サトー はい、個人でも成り立つ仕事なんだなとコロナ禍になってつくづく思いました。結局、70、80、90歳になった時に大事なのは自分についてきてくれるお客様なんだろうなと。サロンワークの大切さにもっと若い時に気づきたかったです。

蒲生 それは仕方ないですよ。大事なのは今に生きるということですから。ちなみに復帰してお店が大丈夫だったら、店舗やスタッフを増やしたいとか、そういう展望はあるのですか?

サトー 産休中のお店の進化具合によってですね…。しばらくこのまま続けていって、ゆくゆくは夫婦だけでやるか、どんどん店舗を増やして、スタッフが家庭を持っても雇えるような基盤を作るかは、ここ2〜3年で方向性を決めないといけないかなと思っています。判断する材料が少なすぎて今は決められないのですが、それもあって2人目を産んでちょっと休んで様子を見ようという気持ちもあるんです。何かと直感で判断しがちでこれまでも失敗してきたので(笑)、データがあったほうがいいかなと。会長はどのようにして会社を大きくされたのですか?

蒲生 基本的に去る者は追わずの精神ですが、そうならないように環境を整えるとか、ある程度こちら側が入れ込む気持ちを持つことが大事だと思いますよ。

サトー なるほど。結局、スタッフのことで悩み続けるのかなと思っているので、とても勉強になります。

蒲生 がんばってください。応援しています。

サトー 今日は貴重なお話をありがとうございました。

美容という仕事は
生姜続けていけるし
1人でも成り立つ仕事でもある

蒲生茂

サトーマリ(さとーまり)

『SiiKA』代表。1981年、茨城県出身。2001年ハリウッドビューティ専門学校卒業後、原宿のサロンでサロンワークを中心に、ファッション誌、一般誌、業界誌の表紙や特集の撮影などでも活躍。「強さがあり、挑発的だけど、可愛くておしゃれなヘアデザイン」を得意とし、目に止まるヘアカラーにも定評がある。2016年に加藤龍矢氏とともに『SiiKA』設立。2019年に自身がディレクターを務める『siika NIKAI』を中目黒に設立。また3サロンで構成されたクリエイティブチーム『,et(エト)』で外部活動にも取り組むなど多岐に渡り活躍の場を広げている。

Photo / Sugano Yukie

取材・掲載協力

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