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未来をつくるキーマンたちへのインタビュー vol.9

ヘアサロンインタビュー
Nov.4.2025

SNIP STYLE 2022年3月号掲載 取材・掲載協力 株式会社コワパリジャポン

SHOWA → HEISEI → REIWA
未来ある美容業界、その先へ!

グループ全体のスタッフ数1,800名超、毎年160人前後の新入社員を採用し、1997年に美容業界初の株式店頭公開を成し遂げたTAYA。そんなビッグサロン常務執行役員CTOである大川雅之さんが今回のゲスト。トッププレイヤーとして、経営陣としてこの不透明な時代に組織をどう導いていけばいいのか。悩める大川さんの背中を蒲生会長がそっと押してくれました。

過去には戻らない。
未来に向かって行くための教育で
スタッフの技術力を底上げしたい

大川雅之

蒲生  大川さんとは様々なイベントで顔を合わせることはたくさんありましたが、こうして2人で話をするのは初めてですね。

大川 はい。大変光栄です。今日僕が蒲生会長と対談させていただくことを弊社の名誉会長(田谷哲哉氏)に伝えたら、「僕は蒲生会長とすごく仲がいいんだよ」と言って、とても喜んでくれました。

蒲生  もう50年の付き合いになります。事前に大川さんのプロフィールを拝見したのですが、元プロボクサーだったんですね。

大川 はい。4年ほどやっていました。

蒲生 今のやさしい風貌からは想像もできませんが、きっと今でも心の中にはファイティングスピリットがあるのではないでしょうか。

大川 そうですね。今年5月に行われるアジアビューティエキスポでは5回連続でステージに立たせていただくのですが、名誉会長から「ステージは戦争だぞ。TAYAの看板を背負っているからには本当にいいものを見せないとダメだ」と言われています。僕の中にあるファイティングスピリットを存分に発揮し、魂を爆発させて圧倒的な感動を与えたいです。

蒲生 意気込みが素晴らしいですね。ヘアショーは大川さんのような評判の人の技術を見るだけではなく、観た人が将来自分もこうなりたいという未来を思い描ける場でもあります。

大川 たしかにそうですね。技術だけではなく、未来を見てもらいたいと思っています。今、会社の中で技術と教育を改めて見直しているのですが、スタッフ教育を改革していく上で過去の失敗を問いただすのではなく、「未来」に向けた指導法に変えようとしているんです。

蒲生 そうなんですね。具体的にはどのように変えるのですか。

大川 僕は2年前に執行役員になり、昨年の6月に常務になりました。数字を把握して会社の経営に関わり、今まさに勉強中です。「うちは美容室だから、トップは美容師がなるべきだ」というのが名誉会長の考え。毎月名誉会長といろんな話をしています。これまでのTAYAの歩みや名誉会長の熱い想いを色々聞いた上で、僕は改めて「TAYAは技術者集団である」という原点に立ち返り、技術と教育を見直していくことが必要なのではないかと考えています。今までは2、3年生が1年生を指導する形でしたが、店長とナンバー2が直接指導していく形に変えたりと、スタッフの技術力の底上げを図りたいんです。僕が切ったものを展示して見てもらうことも行っています。

蒲生 なるほど。美容業界は「人」で成り立っていて、美容師の技術が商品だと言えますからね。

大川 本当にその通りだと思います。名誉会長と僕で毎月関東・関西・九州を周り、ナンバー2のスタッフを「NEXT」と位置付けて、NEXTたちにも色々な話をしています。一旦売上が落ち込んだ時期もありましたが、TAYAはいい意味で変革しながら上がるしかないと。勢いのある若手やクリエイションができるメンバーが育ってきているので、ここから少しずつ上を目指していけるかなと感じています。

蒲生 コロナがあったことで、かえって色々なことを考えるいい時間になったのではないですか。

大川 そうですね。僕自身の売上はコロナ以降、圧倒的に上がったんです。

蒲生 それはすごいですね。

大川 紹介を中心にお客様が増え、店販売上だけでも毎月約200万円はあります。実はカット料金を最近上げたのですが、逆にそれが信頼につながったのか、自分史上最高売上を記録したんです。

蒲生 何か秘訣はあるのですか?

大川 確かな技術はもちろん大事ですが、僕は「お客様を大事にする」ということをとても大切に考えています。たとえば雨の日はいやだなと思いがちですが、僕はチャンスだと思っていて、お客様の来店時間に合わせて受付に立って待ち、雨で濡れたお客様の靴を拭くところから始まり、洋服をドライヤーで乾かしたりもします。雨の日にしかできないことを全部やるんです。そうすれば、雨の日も予約のキャンセルがなくなり、むしろ雨の日に来てよかったと思っていただけると思うんです。僕が自ら行動すれば、スタッフも絶対やってくれるはずですから。

蒲生 素晴らしいですね。まず自分でやって見せて、褒めてやらなければ人は育ちませんからね。

大川 蒲生会長のおっしゃる通り、褒めることは大切ですね。ミスをした子を叱るのではなく、どうしたらいいのかを話し合うことが大事だと思います。そうするとアシスタントが喜んでくれるんです。何事も未来に向けた言い方、未来に向けたミーティングをすることによって数字も良くなってきました。昨年の10、11、12月は前年よりもアップしています。お店の雰囲気が良くなるとお客様にも伝わるんです。

蒲生 なるほど。きめ細やかな心配りができれば末永く繁栄できると思います。

大川 お客様にまた来てもらうことが僕たちの使命なので、それを店長たちに言い続けています。

蒲生 髪をきれいにするのはもちろんですが、女性は美容室に「自分のために何かをしてもらいに」行くんです。心地よい空間やサービスも技術と同じくらい本当に大事なんだと思います。

大川 お客様が何を求めているのかを見誤ると意味がなくなってしまいますよね。弊社は郊外店も多いですが、TAYAだからみんな一緒、ではないという意識を持つことも重要だと考えています。

蒲生 お店の内装を揃えることはできでも、スタッフはみんな違いますからね。

大川 はい、僕としてはベーシックな技術は全スタッフに学んでほしいと思っているんです。TAYAメソッドを全国のスタッフに教えて全員ができるようになることが組織。これは徹底したいのですが、逆に個々の感性も大事にしてあげたいという葛藤がありまして…。

蒲生 大川さんは最高技術責任者を任されたのだから、大川さんの考えでいいと思いますよ。それで行くべきです。

大川 ありがたいお言葉を頂戴しました。迷いがなくなり、自信を持って前に進める気がしてきました。

蒲生 田谷さんに認められたこと自体に自信を持っていいと思います。

大川 ありがとうございます。今、名誉会長と一緒に絵を描く時間を設けたり、日本髪を勉強し直したりしているのですが「当たり前を当たり前にやり続けなさい。それで初めて奇跡が起きる」とよく言われています。

蒲生 1000人規模のスタッフを抱える特別な立場だから思うようにいかないこともあると思いますが、修正しながら進んで行けば大丈夫だと思いますよ。

大川 ありがとうございます。あと、ベーシックを全員で統一することを徹底する傍ら、今まであまりできなかった社会貢献にも参画したいと思っています。

蒲生 TAYAさんの将来がすごく楽しみですね。

大川 がんばります。今日はありがとうございました。

美容師の技術が商品。
そのクオリティを高めることは
何より大事なこと

蒲生茂

大川雅之(おおかわまさゆき)

株式会社田谷 常務執行役員CTO(最高技術責任者)。TAYAトップヘアアーティスト。元プロボクサーというユニークな経歴を持つ。国内外のセミナー講師、ヘアショーなどで活躍する傍ら、サロンワークでの売上は全国のTAYA グループ1,800人の頂点に立つ。

Photo / Sugano Yukie

取材・掲載協力

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