TOP記事一覧未来をつくるキーマンたちへのインタビュー vol.11

未来をつくるキーマンたちへのインタビュー vol.11

ヘアサロンインタビュー
Nov.17.2025

SNIP STYLE 2022年5月号掲載 取材・掲載協力 株式会社コワパリジャポン

SHOWA → HEISEI → REIWA
未来ある美容業界、その先へ!

現在、直営サロン5店舗、フランチャイズ7店舗を展開するU-REALM代表の高木裕介さんが今回のゲスト。5月に行われるアジアビューティエキスポのレッドステージを控え、勢いを増し続けている高木さんだが、経営面の悩みや今の美容業界への危惧など、様々な想いがあり…。長年、美容業界を見てきた蒲生会長が高木さんにアドバイスします。

コンテンツ(SNS)頼りにならず
技術で勝負できるよう
しっかり練習することが大事

高木裕介

高木 ガモウさんとお取引をさせていただくようになって10年ほどですが、いつも親身になって様々な相談に乗っていただけるのでとてもたすかっています。

蒲生  我々は物を売ることが目的ではなく、それぞれの美容室のニーズに応え、流行らせるためのお手伝いを丁寧にやらせていただくことがモットーなんです。ところで高木さんの美容師としての信条は何でしょうか?

高木 経営的にはマス市場を狙いに行くのが僕の手法です。1人の美容師としては、先輩方へのリスペクトを大切にし、技術にこだわることですね。

蒲生 なるほど。ちなみに高木さんの師匠はどなたになりますか?

高木 この人、というのは特にいないのですが、ウルトラC代表の成田裕二さんからは色々なことを教えていただきました。最初に入ったサロンのベーシック、ウルトラCでのレザーカット、そして宮村浩気さん(AFLOAT代表)に代表される柔らかい切り方など、全部を混ぜたものが僕のオリジナルベーシックになっています。

蒲生 みんなが師匠なのですね。

高木 はいそうです。僕は元々青文字系が好きだったのですが、独立した時、マス市場を狙うには赤文字系のほうがお店を大きくできると考え、得意だった赤文字系を軸に展開しました。しかし一時、きゃりーぱみゅぱみゅさんが流行った頃に、世の中の流れが一気に青文字系に傾いてお店が流行らなくなってしまったことがあったんです。その時、スタッフに青文字系の雑誌を見せながら「明日からこれを見てモード系を提案して」といきなり伝えて(笑)。スタッフの頭の中は「?」だったと思いますが、赤文字系が得意なスタッフに逆方向のテイストのスタイルを作らせたところ青文字系にはなりきらず、ちょうど中間くらいのテイストに落ち着いたんです。それを「紫系」というテイストで打ち出したらハマって、再びお店も元気になりました。

蒲生 青文字系になりきらなかったのが逆に特徴が出て良かったんですね。

高木 そうなんです(笑)。

蒲生 今は店舗もだいぶ増えましたが、いつの時点がいちばん大変でしたか?

高木 1店舗から2店舗にする時がいちばん大変でしたね。1店舗目からスタッフが25人いて、辞めたり増えたりを繰り返していたことや、ヘアメイクの仕事で僕がほとんどサロンにいない時期とも重なったりして、本当に大変でした。

蒲生 現在、コロナの影響はどうですか?

高木 客数が減ったというより、来店頻度がだいぶ下がりました。結果的に客数が減ったのと同じことですよね。ただ、辞めてフリーランスを選んだスタッフもいたので経営的なバランスは保っています。あと、昨年は新人を採用しませんでしたが、今になって後悔しています。1年空いてしまうと教育が難しくなって。

蒲生 コロナはどんな業種でも何らかの影響があります。美容業界は比較的、影響が少ないほうだと思いますが、これから先、収束してきた時にどんな後遺症が出るか心配です。

高木 そうですね。僕は5年ごとにお店のブランディングを見直しているのですが、僕と同世代のお客様を大事にしつつ、発信力のある大学生くらいの年代に刺さるブランディングを考えていかなければなりません。つまり5年後を考えると、今、中学生くらいの子から支持されるサロンであり続けなければならず、それを繰り返していくことは本当に大変で、とても疲れます。1人の有名なインフルエンサーから支持されてもお客様は来ません。数百、数千のフォロワーを持つ人が何人も通っているというほうが信ぴょう性があるとされていて、繁盛の仕方が昔とは変わってきています。それも5年後には変わっているかもしれませんが、手探りでどうすればいいか考え中です。蒲生会長は今の20代、30代、40代の美容師にはどうなってほしいとお考えですか?

蒲生 20代は学ぶ時期。30代は学んだことを生かしてバリバリ働く時期。そして40代は次世代を育てる時期です。採用した人全員がトップになれるわけではありませんから淘汰はやむを得ないし、それぞれに適したポジションがあります。美容は技術的、経営的統一が難しい業種ですが、高木さんにはスタッフ1人1人の想いを認め、自分の生き方の芯を見失わないでほしいと思います。

高木 はい、ありがとうございます。

蒲生 高木さんはこれからは、どんな経営をしたいと考えていますか。

高木 今は「個」が大事な時代で、色々なことが難しくなっていると思います。「個」を大事にする人もいれば、組織に属してやっていきたい人もいて、会社を大きくするためにはどちらに寄せても難しいと感じています。全部シェアサロンにするという考えは今の時代には合っていますが、僕がやりたい方向性とは異なる部分があり、かといって教育中心のサロンでやっていこうとしてもなかなか人が集まらず、みんなで成長していくには厳しい環境と言えます。両者のいいとこ取りをしてうまい落としどころを探していかなければいけないと思っています。一生懸命育てても辞めてしまう子もいて、疲弊することもあります。そこで僕は、30代、40代のオーナーたちも「個」を強めるべきだと思うんです。正直、40代の美容師はSNSのフォロワーは少ないと思いますが、雑誌が全盛の時代にしのぎを削ってきた世代なのでみんなすごく上手いし、いい意味でアクが強くて、高い人間力を持っています。そこを生かして「個」の力を強めていけば、未来が見えてくると思うんです。

蒲生 そうですね。美容師さんは最終的には「個」だから、「個」が色々な意味で発展していかないといけません。

高木 僕もそう思います。フォロワーが増えればお客様が増えるみたいな風潮には危機感を持っていて、「個」の技術よりSNSというコンテンツ頼りになっていることに不安を感じています。先輩方へのリスペクトを忘れ、個人主義に走りがちな今の美容業界の軸はブレていると。本来は技術があってこそお客様に来ていただけるはずなんです。

蒲生 コンテンツありきのやり方で成功する人が増えると、みんなその方向に行きがちです。根本的にSNSは顧客を集めるための手段であり、本質は技術や感性です。結局、本物の美容師さんだけが残るのだと思いますよ。

高木 そうですよね。僕が一貫して大事にしているのは技術です。30代半ば頃、自分より少し上の世代のお客様の髪が難しくなり、コンプレックスをカバーする技術を改めて学んで理論を確立したいと思い、PEEK-A-BOOのカットスクールで学び直しました。ちょっと恥ずかしかったですが行って良かったです。SNSも大事ですが、美容は最後の最後には技術が物を言う世界。若い人には練習をしっかりしてほしいと伝えたいです。

蒲生 それが一生食べていける技術になりますからね。

高木 おっしゃる通りです。今日はお話を色々と聞いていただきありがとうございました。

スタッフ1人1人の想いを認め、
自分の生き方の芯を
見失わないで欲しい

蒲生茂

高木裕介(たかぎゆうすけ)

U-REALMグループCEO。2005年、東京・表参道にU-REALMオープン。現在は表参道、銀座、横浜などに13店舗を展開。サロンワークの他、セミナー講師、ファッション誌、TVCM、商品開発、ヘアショー出演など多岐にわたり活躍中。

Photo / Sugano Yukie

取材・掲載協力

株式会社コワパリジャポン / 挑戦する美容師”を応援する

SNIP STYLE ONLINE SHOPはこちら

今すぐアプリで
会員登録する

ガモウ全店のcetera beauty shopにてご利用いただけます。
既存のカード会員様も、アプリへの切り替えでおトクにお買い物!

Google Play でダウンロードApp Store でダウンロード
希望エリアのセミナー・イベント情報や、
お得なクーポンを配信中!

友だち追加してお得な情報をゲット!