SNIP STYLE 2022年7月号掲載 取材・掲載協力 株式会社コワパリジャポン
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未来ある美容業界、その先へ!
メンズヘアを牽引するLIPPS取締役の矢崎由二さんが今回のゲスト。全国23店舗を展開し、スタッフ数約400人規模まで成長を遂げた今、LIPPS創生期に入社し、現在の成長の立役者の1人である矢崎さんが果たす役割、これからのLIPPSはどうあるべきか…など、蒲生会長が矢崎さんの想いに寄り添いながら、そっと背中を押します。
40歳を過ぎてクリエイティブに挑戦。
保身に走らず、常に新しいことに敏感でありたい
矢崎由二
蒲生 こうして二人でお話するのは初めてですね。矢崎さんは、LIPPS立ち上げ当初に入られたのですか?
矢崎 僕は美容学校を卒業して、都内のサロンで働いていましたから、LIPPSには立ち上げから2年後くらいにスタイリストとして入社しました。2001年頃ですね。
蒲生 その頃からメンズのお客様がメインだったのですか?
矢崎 いいえ、当時は女性のお客様がほとんどでした。僕が入社した頃から世間にメンズ雑誌が増えてきたので、メンズスタイルを積極的に打ち出したところそれがヒットし、次第にメンズに特化していくようになったんです。
蒲生 なるほど。ここ最近で男性のヘアデザインは自由でおしゃれになりましたよね。LIPPSさんがメンズヘアの最先端を走って色々な影響を与えたのだと思います。
矢崎 ありがとうございます。
蒲生 今、社員は何人くらいですか?
矢崎 約400人です。全国に23店舗を展開しています。

蒲生 近年のLIPPSさんの発展はすごいですね。
矢崎 入社当時は1店舗だったのですが、その頃がいちばん大変でしたね。教育カリキュラムもまだできておらず、スタイリストも色々なお店から集まってきたので技術の統一ができていなかったんです。それぞれが感覚で切っている状態でした。「それではダメだ、全員が同じクオリティでカットできなければ」という的場(LIPPS代表の的場タカミツさん)の強い想いがあって、何年もかけてマニュアルを作ったんです。空前の雑誌ブームで出させていただく機会も数多くあったのですが、大手のサロンさんと競わなくてはいけないのは本当に大変でしたね。
蒲生 技術マニュアルができたことで、会社も発展したのですね。
矢崎 そうですね。的場はとても技術に厳しいので、細かい部分にまでこだわってLIPPSオリジナルの「フレームカット」を作り上げました。「フレームカット」とはそれぞれの骨格、髪質に合わせて、似合わせるためのデザインを形にするカット技法のことです。これを習得すればみんなが一定のクオリティを保ちながら正確にカットできます。「フレームカット」をベースに育成していけば、スタッフが何人に増えても大丈夫なんです。それをベースに約8年前にアカデミーを創設し、育成のスピードが一気に速まりました。その結果、店舗数もグッと増えたのだと思います。
蒲生 スタッフや店舗が増えると、個々を管理するのが大変ではないですか?
矢崎 店舗がある程度増えると幹部が育っていき、店舗管理はその幹部たちに任せることができます。僕は技術部門とデザイン部門の統括兼アカデミーの責任者としての仕事に特化し、他の幹部もそれぞれの役職で特化できるので、僕1人で全部を見るわけではなくなります。今思い返すと、1店舗の時のほうが大変だった印象です。とはいえ、マインドを伝えていくのは本当に難しいです。根気よく毎日の営業の中で伝えていくという地道な努力を続けています。

蒲生 今は「個」の時代で、1人ひとりが色々な考え方を持っているから、なおさら難しいでしょうね。
矢崎 おっしゃる通りですね。特にSNSの管理はかなり大変です。LIPPSという大きな器の中で、カラー特化、パーマ特化など、それぞれみんなが違う打ち出しをして、オリジナリティを出そうとしています。それぞれのセルフマネジメントをしっかりやらないと、ブランドの中でも芽が出ない場合がありますから、僕たちが技術のクオリティを管理することは大事なことだと考えています。
蒲生 そのためにどんなことをしているのですか?
矢崎 僕自身、リアルなサロンワークのヘアを20年間やってきたのですが、4年ほど前、40歳を過ぎてから「クリエイティブなスタイル」にトライし始めました。スタッフに技術を教えるためには自分自身が時代に合わせて技術を磨き続けることが必要で、自分が古くなることは会社にとっても自分にとっても危険なことだと考えたからです。そこで新しいことに挑戦し、それをスタッフに落とし込んでいけたらと考えました。年齢を重ねると保身に走ったり、それまでの成功体験だけで勝負してしまいがちですが、美容業界はどんどん新しくなっていくので、そこに対して常に敏感であるために始めたんです。
蒲生 素晴らしいですね。2021 THA審査員賞も獲られていましたね。
矢崎 ありがとうございます。始めてから数年で様々なコンテストで賞をいただけるようになりました。動機は会社やスタッフのためなのはもちろんですが、美容業界にも貢献できるきっかけになればと思っています。業界のコンテストやイベントはレディースが中心ですが、メンズヘアのクオリティを上げて、レディースと同じくらいのレベルで盛り上げていきたいというのが個人的な目標です。だから『ASIA BEAUTY EXPO 2022』のヘアショーではメンズビューティの新たな可能性を見せます。LIPPSはトータルでメンズビューティのリーディングカンパニーを目指し、幅広い世代にメンズビューティを広め、業界を引っ張っていきたいという想いもあります。
蒲生 LIPPSさんはますます発展していきそうな予感ですね。
矢崎 ゆくゆくは全国の様々な地域に店舗を出したいと考えています。今いる400人のスタッフの将来のビジョンを考え、フランチャイズ制度もありますし、商圏を探りつつスタッフの意向を汲んで出店できたらと思っています。
蒲生 LIPPSさんの技術やサービスを望む全国の人たちのために、色々な場所に店舗があるのはいいことだと思います。遠くの店舗のスタッフの仕事ぶりを目で見ることは難しいですが、ある程度おおらかに考えることも大事ですよ。
矢崎 そうですね。アカデミーでも育成を強化しているのですが、それでも「個」が強い時代になっているなと感じています。
蒲生 全国に店舗を持つようになるとどこかで何かが発生するものです。組織の「見える化」もみんなにとって必要なことだと思います。
矢崎 なるほど。ここ数年、サロン経営は様々な形態に分かれてきましたが、ブランドサロンをどう発展させていくべきかが悩みどころです。
蒲生 美容の経営に絶対法則はありませんが、美容業界はとにかく「人」が大事ですから、若い子も含めて人に好意を持つこと、自分の周りの人とのいい関係性を保つことが大切です。それがうまくいけばサロンもいい方向に行くのではないでしょうか。400人もいると、思うようにいかないこともたくさんあると思いますが、そういうものだ、それが個性だ、それが面白いのだと思いつつ、LIPPSさんの原点を忘れず、考え方がブレないように進んでいくのがよいと思います。
矢崎 はい、承知しました。これからも自分自身とサロンを進化させながらがんばっていきます。
蒲生 期待しています。
矢崎 今日は貴重なお話をありがとうございました。勇気づけられました。
「人」を大事に、「人」に好意を持ち、
自分の周りの人とのいい関係性を保つことが大切
蒲生茂


矢崎由二(やざきゆうじ)
LIPPS取締役クリエイティブディレクター。LIPPSアカデミー理事長。メンズ、レディーススタイルともにリアルからクリエイティブまでオールマイティなデザインと技術を追い求めている。数々のコンテスト受賞歴あり。ASIA BEAUTY EXPO 2022ヘアショーステージにも出演。
Photo / Yukie Sugano
取材・掲載協力



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