TOP記事一覧未来をつくるキーマンたちへのインタビュー vol.14

未来をつくるキーマンたちへのインタビュー vol.14

ヘアサロンインタビュー
Dec.8.2025

SNIP STYLE 2022年8月号掲載 取材・掲載協力 株式会社コワパリジャポン

SHOWA → HEISEI → REIWA
未来ある美容業界、その先へ!

2020年JHA大賞部門準グランプリをはじめ、様々なコンテストで受賞歴を持つCARNIVALのKazuさんが今回のゲスト。理容師を経て美容師となり、クリエイティブ活動でも活躍中のKazuさん。これからどんな美容師として歩んでいくのか、蒲生会長がやさしくエールを送ります。

母と妹、3人の暮らしを向上させるため
今引き下がるわけにはいかないと決心

Kazu

Kazu 蒲生会長のことは美容師になった頃から存じ上げておりますが、こうしてお話させていただくのは初めてですので緊張しています。

蒲生  リラックスしてくださいね。ところでKazuさんは元々、理容師だったのですね。

Kazu はい。世界チャンピオンも輩出している理容室で働いていたので、当然コンテスト出場の機会も多く、全国で優勝したこともありました。お店の傾向としては練習量で決まるベーシック技術に重きを置いていたので、もっと自由な発想のデザインや感性を磨いてみたいと思うようになって、理容から美容へ転向しました。美容室では、シャンプーからやり直したのですが、接客から何からすべてが違い、最初は全く別の仕事をしているようでしたね。打ちのめされるような気持ちにもなりましたが、1からがんばっていこうという思いでした。

蒲生 それはなかなかの決断でしたね。理美容両方の技術を学んで思うことはありますか?

Kazu 最近の美容のデザインはニュアンス的なものからしっかりとした形のものに変わってきたと感じています。自分が最初に触れた技術の考え方や、理容師時代にトレーニングした経験が生きてくるようになったんです。最初からより好みせずに、すべてひと通り勉強しておくことが大切だと改めて感じました。転向したことで、1つのことを追求し続ける粘りが足りないとも言えますが、良く言えば柔軟性があるからこそできることなので、色々な技術を多角的に学ぶことができてよかったと思います。

蒲生 よい経験を積みましたね。美容の世界でもコンテストに出場しておられますが、いかがですか?

Kazu 最初はメンズ部門で出場したのですが、入賞できるだろうと息巻いて出場したにも関わらず、かすりもしませんでした(笑)。この違いはなんだろうと考えた時、デザイン力や感性、完璧なものを作った先に生まれる雰囲気、そのあたりの表現が足りてなかったことに気づいたんです。ガモウさんの「TBC」や「THA」にも数回、出させていただいていますが、なかなか結果が出ず……。でもコンテストに出たことで色々なベーシックがあることを知るきっかけになりました。ここ数年、コンテスト自体がほとんどなかったので、同世代の美容師がどういうものを作っているのか見るチャンスが少なくなってしまい、とても残念です。コンテストはお祭りのような場であり、1年間磨いてきたことを披露する場でもあるから、もっと増えて欲しいですね。

蒲生 5月末には『ASIA BEAUTY EXPO 2022』も開催されました。元に戻るのではなく、新しい展開としてイベントが復活するといいですね。

Kazu 僕もそう思います。

蒲生 コンテストを機にクリエイティブな作品づくりも始めたのですか?

Kazu そうですね。2015年から始めました。それまで集客のためのサロンスタイル撮影しか知らなかったので、こんな世界があるのかと新鮮な発見でした。はじめは、どう撮影していいのかわからず、とりあえずカメラを買い、ネットで使い方を調べました。モデルさんを呼んで撮影するということを何十回も繰り返し、独学で撮影のノウハウを身に付けてコンテストに挑み、2016年に「DA」(主催/ミルボン)でグランプリをいただけたのは自信になりました。何も知らないところから失敗を重ねた経験は、誰かの役に立てるのではないかと思い、セミナーをやらせていただく時はその経験を生かして伝えています。

蒲生 独学とはすごいですね。

Kazu いえいえ。ちょうどその頃に「JHA」にも興味を持ったんです。

蒲生 JHA2020年大賞部門の準グランプリになられました。短期間で結果を出されていて素晴らしいですね。

Kazu ありがとうございます。自分の身の丈を越えるような大きな賞をいただきました。これまでは賞を獲ることに全力で突き進む短距離走のようなライフワークでしたが、最近は自分はどういう美容師なのか?を考えることが増えてきました。

蒲生 最近、ご結婚されたことも考え方が変わるきっかけになったのですか?

Kazu そうですね。今まで考えていた「家庭」に対しての認識が変わってきたことも関係していると思います。「人生をどう豊かな時間に変えられるか」を、すごく考えています。奥さんも美容師なので、お互いに切磋琢磨する部分もありますし。

蒲生 とにかく2人で力を合わせてがんばっていくことが大事です。

Kazu はい。蒲生会長のように長くエネルギッシュに仕事を続けたい、美容師として長く人の豊かな生活に携わりたいんです。実は僕は20歳の時に病気で父を亡くしました。23歳の時には地元の岩手の実家が東日本大震災で被災したんです。それで母と妹の2人を東京に呼び寄せ、一時、3人で狭いアパート暮らしをしていました。僕が美容師として活躍すれば生活が向上する、今引き下がるわけにはいかないという思いでコンテストに出ることを決意したんです。ただ必死でした。

蒲生 大変濃い美容人生を歩んでこられて、それが強い意志になったんですね。

Kazu はい。でも、ようやく広いマンションに住めるようになったところで、昨年母も亡くなり、妹も結婚し、がんばる目標を失ってしまったんです。それで、次の目標を考えて出した答えが「自分が幸せになって仕事を通して人を幸せにすること」なのかなと。苦しいこともたくさんありましたが、その中で学んだことも多かったです。

蒲生 幸せにならなきゃいけないね。

Kazu 奥さんも早くに父親を亡くしていて、境遇が似ている部分があるんです。

蒲生 そうだったのですね。賞を獲るということは人生の目的そのものではないですが目標やキャリアになり、人生の目的に対してのステップになります。

Kazu 僕もそう思います。JHAでグランプリを獲ることは個人の目標の1つなのですが、長期的な目標は模索中です。今35歳なので40歳までの5年間で「これだ」と思ったものが僕の人生観を変えると思っています。流されたり焦ったりせず、周りの環境に感謝しながら自分に何ができるのか1から考えて目標を決めたいです。自分がつくったヘアデザインによって、どんな人がどんな人生を歩んでいくのかまで考えないといけないと思っています。

蒲生 お客様1人ひとりにしっかり接していけばお店が潤い、みんなの生活も潤います。そこが美容師の原点ですから。お店としての目標はあるのですか?

Kazu 4年後の『ASIA BEAUTY EXPO』の舞台に立つことを目標に掲げて始動しました。自分たちで掴み取りにいこうとミーティングを始めたところです。また、地域貢献もしていきたいと思っています。

蒲生 なるほど。よい取り組みですね。スタッフ満足なくしてお客様満足はない、というのが僕の持論です。

Kazu 勉強になります。

蒲生 日々の仕事は楽しく、みんなでお互いを思いやる気持ちが大事です。

Kazu 本当にそうですね。今日は貴重なお話をありがとうございました。

蒲生 Kazuさんを応援していますよ。

Kazu ありがとうございます。スタッフとともにがんばります。

賞を獲るということは人生の目標やキャリアになり、
人生の目的に対してのステップになる

蒲生茂

Kazu(かず)

CARNIVAL店長兼ディレクター。仙台理容美容専門学校卒業後、都内の理容室に入社。数多くのコンテストに出場して、ほぼ全ての大会で入賞。通信科で美容免許を取得し2010年美容師に転向。都内有名サロンを経て2011年にCARNIVAL入社。2015年ミルボンDAインスパイア優勝。2019年カットコンテスト優勝。JHA2019大賞部門準グランプリ。

Photo / Yukie Sugano

取材・掲載協力

株式会社コワパリジャポン / 挑戦する美容師”を応援する

SNIP STYLE ONLINE SHOPはこちら

今すぐアプリで
会員登録する

ガモウ全店のcetera beauty shopにてご利用いただけます。
既存のカード会員様も、アプリへの切り替えでおトクにお買い物!

Google Play でダウンロードApp Store でダウンロード
希望エリアのセミナー・イベント情報や、
お得なクーポンを配信中!

友だち追加してお得な情報をゲット!