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未来をつくるキーマンたちへのインタビュー vol.19

ヘアサロンインタビュー
Jan.13.2026

SNIP STYLE 2023年1月号掲載 取材・掲載協力 株式会社コワパリジャポン

SHOWA → HEISEI → REIWA
未来ある美容業界、その先へ!

パーマに特化したサロン展開で多くのお客様から高い支持を集めるMAGNOLiA(マグノリア)代表のMARBOHこと、岩上昌弘さん。早くから一般誌、業界誌などで頭角を現し、独立後も堅実な経営とスタッフ教育で注目を集める岩上さんが、この先の美容業界に抱く不安と教育に対する疑問を蒲生会長にぶつけ、蒲生会長が長年の経験から心に染みる回答を贈りました。

美容の本質は技術。技術を極め、価値を上げ、
お店全体の方向性を明確化して前に進みたい。

岩上昌弘

岩上 僕は2008年にMAGNOLiAをオープンして以来、ずっとガモウさんにお世話になっているので、こうして蒲生会長と対談させていただけて光栄です。

蒲生  こちらこそ。お店はオープン当初と比べていかがですか?何か変わったと感じることはありますか。

岩上 少しずつ女性スタッフが増えつつあるのと、この先の10年を考えると深刻な人手不足にどう立ち向かうかが1つの課題としてあります。そこを見据えて働き方や雇い方が随分変わっていくのではないかと感じています。また、教育をしていく上で様々な矛盾も出てきています。昔と同じやり方ではなかなか伝わらないこともあるのですが。とはいえ美容はハンドメイドで技術が命、大量生産ができないことに変わりはなく、その変わらない軸を大切にしながらどう人を集めて成長していくか、自分でも時々わからなくなってしまうこともあります……。

蒲生 そういう変化はここ数年で感じていることですか?

岩上 そうですね。ここ3年くらいでしょうか。お店を立ち上げた当初は技術1本でわりと上手く進んでこれたのですが、14年経ち若い子たちの描くビジョンも受け入れてあげなければという思いに変わってきました。それも踏まえて今、リブランディングへ動き出したところです。働く環境の整備や給与面、休みや待遇などの面はすでにだいぶ改善できていると思うので、この先どうしていくかという方向性を明確化し、スタッフを導いていかなければと考えています。

蒲生 なるほど。そのためにどんなことをやっているのですか?

岩上 2週間に1度のペースでスタッフ1人ひとりとロールプレイングを行っています。僕が課題を出し、それに対しての答えを考えてもらい、また2週間後に話し合い、それを修正する、というのを繰り返す形です。たとえば徹底してユーザーのペルソナをつくりこむなど。全員分は難しいので2人の代表にアシスタントの分は任せているのですが、それによって色々見えてきた感じはしています。

蒲生 良い取り組みですね。昔はそれが飲みの場だったのかもしれませんが。

岩上 そうなんです。今は一切、行かないです。多分、今の若い子たちは、何もない状態では僕と対峙できないと思うんです。課題を出してそれに答える作業を繰り返すことでやっとディスカッションできる。僕は(独立前に在籍したANTIボスの)小松利幸さんと自然にそういうコミュニケーションを取っていたのですが、今はお題がないとダメなんです。お酒も飲まずにやっています(笑)。

蒲生 たしかに。しかも今はSNSでもセルフブランディングがある程度できてしまいますからね。

岩上 それで上手くいってしまうと、逆に目標がふわっとしてしまって目指す方向性を見失う場合もあるんです。なので美容業界の今後の状況を見据えながら、会社としてしっかりと方向性を掲げることが重要だと思っています。

蒲生 美容業界が将来的にどうなるかといえば、日本の人口が減少傾向にあるのは周知の事実ですが、美容学校の卒業生が17,000人前後であるのに対し、全国には美容室が20〜25万軒あるとも言われているわけですから、人員を確保するのは容易ではありません。一方で、2021年より「国家戦略特区外国人美容師育成事業」が始まり、2022年10月1日から東京都内で外国人が美容師として就労可能になりました。

岩上 色々と状況が変わっていきそうですね。

蒲生 1人1人のお客様に施術するという根本は変わりません。若い子をデビューさせ、ベテランはベテランで仕事ができる場をつくる、その繰り返しが大事なのかなと。教育にしても、同じことを教えても受け止め方は千差万別です。教育はパターン化できないですよね。それを認めながらお客様が喜んでくれるようなお店をつくるということが大事なのではないでしょうか。

岩上 なるほど。リブランディングの1つとして今、創造価値を上げていくことを模索しています。創造価値を上げることは確実に生涯顧客づくりにつながると思います。まずはいい技術が最も重要です。そしていい商品に触れる、先輩が後輩に先駆けて積極的に提案する姿を見て、後輩たちも最初は「高い」と感じていた商品に対しても「価値に対してむしろ安い」と感じるようになり、自信を持って提案できるようになりました。新規客をたくさん集めて売上げを上げるというより、既存のお客様の充実度や満足度を上げて売上を伸ばす土壌がだいぶできてきたと思っています。新人はどうしても「来てもらいたいから安くする」というマインドになりがちですが、そうではないということを伝えたいですね。

蒲生 僕は「安い」というものに文化は生まれないと思っています。美容は文化的な仕事であって作業ではないから、安ければいいというわけではありません。

岩上 僕も本当にそう思います。ロールプレイングでスタッフと話をするときは必ず「美容の本質は技術だ」と伝えています。また、教育者を育てたい、教える側になりなさいという思いもあり、だからこそ本質は技術で、そこを突き詰めることで価値を上げていこうという取り組みをやっています。今、MAGNOLiAでは「髪、心踊るパーマ」というキャッチフレーズを掲げ、空前のパーマブームなんです。おかげさまで価値が上がってきたのはいいのですが、現場が大変なことになっています。

蒲生 現場が忙しくなるとみんなで同じ方向を向くのが難しくなりそうですね。

岩上 そうなんです。そこでデザイン性やマインドを伝える手段として動画を撮ることにしました。ストーリー性のあるものを8作品くらい撮り、自社ブランディングに活用したいと思っています。ゆくゆくはホームページも全部動画にしようかなと。あとはスタッフの個性を見極めてモチベーションを高く持てるような環境づくりも始めました。最近ではケアリストというポジションを新設し、知識と技術で特化できるよう頑張ってもらっています。他にもMAGNOLiAにはメンズが得意な子、大人客が得意な子、教育ができる人などいろいろいます。蒲生会長にぜひお聞きしたいのは、そういった優秀な人材とは育てるものなのでしょうか、それとも最初から見抜くものなのでしょうか?

蒲生 多分、基本的には見抜くものなのではないでしょうか。難しいと思いますけどね。僕自身も様々な美容師さんたちと出会い、その方たちが僕を見抜いて導いてくれたのではないかと。出会い=縁を生かすことが大事です。縁を生かせない、縁に気づかず過ぎてしまう、とならないようにしてほしいですね。岩上さんはチャンスを得ているわけだから、チャンスの幅を広げてくださいね。

岩上 ありがとうございます。今の方向性が正しいかどうかはわかりませんが、今までやってきたことをブラッシュアップし、角度を変えてチャレンジし続けたいと思います。

「安い」というものに文化は生まれない。
人との出会いを生かして成長してほしいですね。

蒲生茂

岩上昌弘(いわかみまさひろ)

MAGNOLiA代表取締役。茨城県出身。日本美容専門学校卒業後、都内数店舗を経て、2008年東京・青山にMAGNOLiA(マグノリア)オープン。2016年には2店舗目となるMAGNOLiA harajuku(現Omotesando)をオープン。サロンワークの他、一般誌、業界誌撮影、セミナー講師、ヘアショー、商品開発など多方面で活躍中。『中二会』メンバーとしても活動中。

Photo / Takuro Miyazato

取材・掲載協力

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