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未来をつくるキーマンたちへのインタビュー vol.21

ヘアサロンインタビュー
Jan.26.2026

SNIP STYLE 2023年3月号掲載 取材・掲載協力 株式会社コワパリジャポン

SHOWA → HEISEI → REIWA
未来ある美容業界、その先へ!

現在、東京・神奈川に16店舗を構えるM.SLASH代表に就任した下村幸弘さん。トータルビューティサロンの先駆けとして業界をリードするM.SLASHは300人規模の企業へと成長し、スタッフの多様性に応える施策が必須の時代に。下村さんが考えるマネージメント法やサロンの未来へ懸ける情熱を蒲生会長がやさしく受け止め、ヒントになる言葉を贈りました。

代表であっても
1人のデザイナーとしての魂を持ち続け、
全てのスタッフが輝ける環境を整えたい

下村幸弘

下村 僕はかなり前から蒲生会長のことを存じ上げていますが、1番印象に残っているのはアヴェダのツアーでご一緒させていただいたときのことです。ボストンに行ったのですが、アメリカの歴史について本当に色々なことを教えていただきました。蒲生会長は日本の歴史だけでなく、アメリカの歴史にも精通しておられ、すごいと思いました。

蒲生  そうでしたね。過去を知ることは現在の立ち位置を把握し、未来を想像することにつながると思っています。ボストンはアメリカの原点のような場所。メイフラワー号の話もしましたね。

下村 はい。イギリスとアメリカで似た地名がある理由も教えていただきました。ニューヨークはイギリスのヨーク公から来た名前だとお聞きし、以来、色々な所でその話を披露しています(笑)。

蒲生 弊社でのアヴェダ製品の取り扱いは2004年4月からですが、M.SLASHさんにはセンター北店で早い段階から導入していただいています。

下村 そうですね。センター北店はオープンして早いもので20年が経ちました。オープンしてすぐくらいに、蒲生会長がアポなしでお越しくださったことがあって。スタッフ全員に緊張感が走りましたが、本当にありがたかったです。ホテルスパ並の設備を整えた大型のトータルビューティサロンは当時はほとんどなかったと思うのですが、センター北店は3億円を投じてつくりました。これを7年で回収するミッションを与えられ、最初は戸惑いましたがなんとか達成することができ、自信になりました。

蒲生 素晴らしいことです。当時は下村さんはどのような立場だったのですか?

下村 1店長でした。

蒲生 そうだったのですね。それが今では代表になられて。

下村 2022年の12月からです。創業者であり現在ホールディングスの代表を勤めている岸井(岸井貞志氏)の下で28年間、様々な勉強をさせていただいたので、それを生かして頑張っていきたいと思っています。岸井からは「お金は生き物だから、生かす使い方をしなさい」と常々言われています。

蒲生 なるほど。

下村 今日は蒲生会長に経営面で色々お聞きしたいことがあるのですが……。M.SLASHは300人規模の組織になり、技術職として高みを目指したい「総合職」志向の子と、そこまでではないけれど就業時間内は精一杯頑張りたい「一般職」志向の子、その両方がいます。これまでの美容業界は全員が「総合職」を選択してみんな平等に段階を踏んでいくシステムでしたが、それだと軋轢が生まれ、中には離職するケースもありました。僕は「一般職」志向も1つの輝き方だと思っていて、自由に選択できる環境も大事ですし、ある意味、両者には収入の格差も必要だと考えているのですが、蒲生会長はどうお考えですか?

蒲生 難しい問題ですね。でも難しいと言って片づけてしまったら何も進みません。人はそれぞれが自分の生活を持ち、自分として生きているわけですから、人の自由意思を阻害することはできませんし、経営側の価値観でどうこう考えても思うようにいかないと思います。ただ、どのような集団の中にあっても自分というものを持った人が頭角を表すので、スタッフ1人1人のあるがままをどう見ていくかが重要なのではないでしょうか。

下村 なるほど。勉強になります。デザインが好きで入ってくる「総合職」タイプの子、デザインも好きだけど会社の待遇に未来を感じて入って来る「一般職」タイプの子、どちらにしてもみんな美容師として輝きたくて入ってくれているわけで、すべての子がM.SLASHにとって欠かせない重要な存在だと思っています。

蒲生 素晴らしい考えですね。両者のバランスを取るのが大変だと思いますが、どうされているのですか?

下村 各店舗の代表と店長が二人三脚でスタッフマネージメントに当たってくれています。僕はこの5年、彼らのようなリーダーたちを育てることに注力してきました。みんな本当に一生懸命頑張ってくれています。

蒲生 それは頼もしいですね。

下村 そうなんです。あともう1つお聞きしたいのですが、集客についてはどうお考えですか?僕は集客だけに必死になってもしょうがないかなと思っているのですが……。

蒲生 僕はね、集客の手段はいくらでもあると思うんです。肝心なのはリピートしてくれるかどうかです。

下村 同感です。SNSの影響もあり、わりと簡単に集客できてしまう子もいて、そうすると自分が通用すると勘違いしてしまうんです。教育は相当しっかりやっている自負はありますが、売上を上げられることと技術力が高いことはイコールではないと僕は常に言っていて、日々、切磋琢磨しながら技術力を上げ、お客様に喜んでいただくことが1番の中心軸だということを伝えていかないと危ないなと思っています。

蒲生 たとえ個人のSNSで集客できてもそれはお店があってのこと。そこを間違えてお店を飛び出すと思いがけない苦労を強いられる場合もありますから、きちんと説明しておくことは大事です。

下村 そうですね。技術力やデザイン力にはこだわっていきたいです。僕は代表になったとはいえ、僕自身が経営目線を意識しすぎてデザインやトレンドに対して疎くなってしまったらダメだと思うんです。1人のデザイナーとしての魂を持ち続け、蒲生会長が始められたJHAやTHAのようなコンテストにおいても勝ちに行く姿勢で挑むことによってM.SLASHが進化すると考えています。

蒲生 これからのM.SLASHさんの発展が楽しみですね。今後はどう戦っていきたいと考えているのですか?

下村 M.SLASHは東京と神奈川に店舗があるのですが、神奈川エリアのほうがシェアも売上も高いんです。ベテランスタッフが数多くの顧客を抱え、大切にしてくれているからこその結果ですが、将来的には東京も神奈川と同じくらいのシェアと売上にできたらと考えています。東京で働きたいという子が多いことも理由の1つです。

蒲生 東京は常に人が流入する街ですから、色々な可能性があると思います。

下村 そうですよね。多様性を認めることにもつながると思うのですが、結果が伴っていないのに多様性ばかり求めるのは違うと思うんです。楽することも多様性の1つと言い出したり……。そうならないよう、きちんとした仕組みやルールづくりが必要だと思っています。

蒲生 美容は人が財産ですから、ある程度、働く環境の良さも必要ですよね。

下村 僕もそう思います。もう1つのビジョンとしては、M.SLASHで技術を身につけた人が地元に帰ってお店を出す仕組みをつくり、M.SLASHイズムを全国に広げていきたいと考えています。

蒲生 それはいいですね。下村さんが描くM.SLASHイズムの全国展開を見守りたいです。

下村 頑張ります!今日は本当にありがとうございました。

個人の自由を認めることは大事。
どのような環境でも
「自分」を持っている人が頭角を表す

蒲生茂

下村幸弘(しもむらゆきひろ)

『M.SLASH』代表。サロンワーク、クリエイティブワーク、講習活動など常に第一線で活躍中。JHAではファイナリストの常連。全国の美容師向け技術セミナー講習は年間30本以上。ABEXでのヘアショーなど、国内はもちろんのことアジアでの評価も高い。コンテストの審査員やパーマの薬剤など商品開発にも携わっている。

Photo / Kazuya Kagohara

取材・掲載協力

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