
GAMO NEWS NUMBER 121_2025年10月号
Theme :Tone
COVER LOOK BY
HAIR: Takashi Onozaka
PHOTO: Tomoharu Kotsuji
STYLING: Yuma Sakita
DIRECTOR: Shohey Kondo (RADIMO Inc.)
MAKEUP: emiNagi
MODEL: MAYO
GAMO NEWS No.121のカバー&ヴィジュアルテーマは『Tone』。モノトーンやハイトーンなどの色合い、雰囲気、気分…などさまざまな意味を持っている『Tone』を『NEST』代表の小野坂 崇氏はどう捉え、広げて形にしていったのでしょうか。また、作品撮りに対してのこだわりや、7年目を迎えた『NEST』の目指す方向性についてもお聞きしました。
僕にとってクリエイションとは、
普段のサロンワークの延長線上にあるもの
3つの異なるTone(トーン)の女性像を表現
エッジを効かせた中に女性らしさを忍ばせる
ー『トーン』と聞いて、どのように作品に落とし込みましたか。
普通に考えたら分かりやすく髪色で明暗や強弱をつける発想になりがちですが、僕のスタンスとしてモデルさんありきでイメージを膨らませていくので、それはちょっと違うかなと。ルックごとにスタイリングをチェンジして、異なる女性像のトーンを表現してみたいと考えました。髪色でトーンそのものを表すのではなく、地毛の黒髪から展開することで逆に作品のフックにし、そこから着想していったほうが自分らしいヘアをつくれると思ったんです。彼女にいちばん似合うものは何か?を追求し、それをベースにつくり込んでいったのですが、その考え方はどの作品撮りでも同じです。

表紙
ーモデルを先に決めたとのことですが、なぜこのモデルを選んだのですか。
作品撮りのモデルさんは常にサロンワークで来店いただいているお客様にお願いしています。作品撮りのためだけに普段僕が手がけていないモデルさんを呼んでくるのは自分はしたくない。3つの女性像のトーンを見せるためにはニュートラルな雰囲気を持っている方がいいなと思ったんです。今回のモデルさんはプロモデルの方で、以前から一緒に撮影をやってみたいねという話はしていました。彼女はカッコよくもあり、キレイでもあり、ジェネレーションやある意味ジェンダーの垣根も越えられるようなキャラクターなので、さまざまな「トーン」を表現できそうだなと思いました。

中面左

中面右
ーヘアデザインやファッションのポイントを教えてください。
表紙は「ミニマリズムのトーン」。無駄を削ぎ落としたストレートタッチのヘアにしています。コンパクトに、ミニマムに仕上げ、自立した女性像を表現しました。衣装のほぼ黒に近い深緑のセットアップは、実は僕の私物です。2スタイル目は「リアリティを感じるトーン」。彼女はパーマをかけているので、水で濡らして軽くバームをもみ込み、作り込まないウェットな質感でウェーブを引き出しています。これがもっとも彼女らしい、彼女がオーダーしたスタイルです。3スタイル目は「質感のトーン」。黒髪よりやや明るめの色に染めた前髪ウィッグをつけて、コントラストのあるスタイルに仕上げました。微妙な色の違いを表すツートーン、リアリティを意識している僕の撮影スタイルのトーンとは異なるトーン、その2つの意味を込めています。白に統一したスタイリングもインテリジェンスな雰囲気が作れたと思います。



ー撮影チームとのイメージの共有はどのようにしましたか。
事前に僕のイメージやリファレンスを送り、イメージを共有。限られた時間と予算の中でよりイメージを具現化するために、自分たちの私物も混ぜながら衣装を用意していただきました。僕は元来、華美な雰囲気や装飾が施されているスタイリングがあまり好みではないので、なるべくミニマムに、少しエッジが効いた大人の世界観を作りたいと思いました。メイクは基本、モデルや衣装に合わせつつ、彼女の魅力を引き出してほしい、写真は髪のディテールが潰れないようにとお願いし、最高の仕上がりになったと思います。
―ファッション同様、ヘアもややエッジが効いた感じを得意とされているのですか。
僕もそう思っていたのですが、新規のお客様からは「エッジを効かせたいけれど、女性らしさも欲しかったから小野坂さんに」ってよく言われるんです。僕のInstagramにはリアルなお客様を載せているのですが、カッコよさの中にどこか女性らしさとか色気とか、そういうものを感じていただけたのではないでしょうか。今回の撮影も同じで、無意識に自分が本能的に好きな世界観が出たのかなと。それが僕のトーンなのだと思います。

人と人とのつながりを大事にしながら
『NEST』を僕以外の色に染めたい
ー小野坂さんが美容師を目指したきっかけを教えてください。
両親が共働きだったので、小さい頃はよく叔母の家に預けられていました。叔母の娘(小野坂さんのいとこ)がヘアメイクをしており、素敵な仕事だなと思っていたんです。その人から「ヘアメイクになりたいのなら、まず美容学校に行って美容師になってからにしたほうがいいよ」と言われ、美容学校に進学しました。「SHIMA」を受験したのも「しっかり勉強するならSHIMAさんがいいよ」と言ういとこの助言からです。実際にお客様として行ってみて「ここに入りたい!」と思いました。

ープレイヤーとして、どのようにキャリアを積んだのですか。
自分としてはプレイヤーもクリエイションも大好きなのですが、前職ではわりと早い段階で店長やディレクターを任せていただきました。僕のマネージメント力に期待していただいたのだと感じ、その時期は自分もそちらに注力していました。そのため作品撮りからもしばらく離れていた期間もありましたが、もともとクリエイターの方との相性は良い方なのか、ファッション関係やメディアのお客様が多く、その方たちからのご紹介で著名人やモデルのお客様も増えていきました。最初から著名人やモデルばかりを担当していたわけではなくたまたまですね。つくづく人と人とのつながりは本当に大事だと思います。今回、撮影のディレクションをしてくれた昌平(近藤 昌平さん)も、出会いの場は居酒屋でした(笑)。
ー小野坂さんにとってクリエイションとはどのような位置づけですか。
先述の通り、僕のInstagramで投稿している方々は全員お客様です。僕がお金を払って撮らせてもらった人は1人もいません。逆にお金をいただいてカットやカラーをさせてもらった方ばかり。その意味で「作品」ではなく「商品」を撮らせていただいていると言えるのかもしれません。Instagramも当初は若い美容師さんの集客ツールと考えていましたが、独立を考え始めたときに自分の求める新たな層の集客ができるのか? を考え、自分でもやってみようと思ったんです。クリエイターの方たちとセッションしながらクリエイションをするのは元来好きですし、もちろんヘアにも自信はありましたが、しばらくクリエイションから離れていたのでブランクを感じてしまい…。そこでInstagramにはリアルヘアを投稿することにしました。僕にとってクリエイションは普段、サロンでつくっているスタイルの延長線上にあるもの。今回、久しぶりに撮影に臨みましたが、とても楽しくできました。

ー今後の目標を教えてください。
僕とアシスタントでスタートした『NEST』は7年目を迎えました。最初はスタイリストが僕だけだったので、『NEST』=僕のイメージでしたが、人が増えていくことでいろいろなイメージが増えていきます。それはとても素晴らしいことで、セレクトショップのようなお店にできたらいいなと思っています。僕は経営者としての仕事や外部の仕事もあるので、『NEST』がそれぞれのスタイリストによって僕以外の色に染まっていくのが理想です。僕自身としては俯瞰的に物事が見えるくらい、少しだけ仕事のペースを抑え、余裕を持って働くフェーズに入りたいと考えています。プレイヤーが大好きなので集中してしまいがちなのですが、そこは一歩引いて、スタッフに任せることは任せ、みんなが楽しく働きやすい環境づくりに力を入れたいです。


小野坂 崇氏
1977年、埼玉県出身。国際文化理容美容専門学校国分寺校卒業後、『SHIMA』に入社。その後に独立し、2019年東京・表参道に『NEST』を、2022年『NEST eye』をオープン。2023〜2025年、3年連続「カミカリスマ」2つ星を獲得。サロンワークの他、セミナーやオンラインサロンなど多方面で活躍中。
NEST
〒107-0061 東京都港区北青山3-5-2 VORT 北青山 7F TEL:03-6812-9687


Instagram https://www.instagram.com/nesthair.tokyo/

Instagram https://www.instagram.com/takashionozaka/


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