ガモウニュース表紙撮影の舞台裏 in chelsea_照屋 寛倖氏

Making Cover LookMar.19.2021

30周年を迎えたGAMO NEWS。
新企画もスタートする今号のテーマは『Air energy=風の時代』。
カバー&ヴィジュアルを手がけていただいたのは『in chelsea』の照屋 寛倖さんです
ボーダレス、革新、自由なものへの価値が高まる時代の空気を感じて。

照屋さんがイメージする「Air energy」とは
—テーマからイメージしたことを教えてください。

今まではスタジオの中で光をつくって作品撮りをしていました。でも、『Air energy=風の時代』というテーマを聞いて、直感的に「外で撮りたいな」と思ったんです。光や緑、花、空など色々な自然の要素を取り入れて、開放的な空気の中で撮ることが僕的に新しいというか、今の時代にマッチしていると感じました。外ロケだと作り込みは出来ないのですが、髪や服が風でふっと浮いたり、そのぐらい抜けた感覚が逆にいい。最近はヘアにこだわるより、モデルさんが素敵に撮れる方がいいかなという感覚なんです。その方がモデルさんも喜んでくれますしね。

女性像は少しジェンダーレスなイメージだけど、女性らしさも残している。今回はクリエイティブなイメージで創りましたが、攻め過ぎず、街をそのまま歩けるぐらいのクリエイティブヘア。刈り上げてカットラインをバッと出して、オイルをつけただけぐらいの感じが今は心地良いいんです。

表紙の作品

中面の作品(右)

中面の作品(左)

今は何となく時代的にターコイズブルーかなと思った
—ヘアカラーのポイントについても教えてください。

カラーはターコイズブルーです。グリーンと迷ったのですが、今はなんとなくブルーが時代的にもいいのかなと思ったのと、少しカッコいい要素、モデルさんにハマるカラーを考えて決めました。

カットとカラーは前日に行いました。長さは耳の下ぐらい、カラーは表面だけブリーチして中は黒染めしてある状態だったのですが、そこからこの色を出すのに結構、苦労しました。

僕は作品を創る時に、色の関係性を考えることが多いです。今回は衣装をピンクと決めていたので、補色のターコイズブルーなら絶対いけるなと思いました。また、背景となる自然の風景(空や緑など)との色の相性や光も考え、現場では試しながらモデルを動かして撮影した感じです。

自分で撮影をすると、思い描いていた絵が表現できる
ご自身でカメラ撮影まで行うようになったのはいつからですか?また、そのきっかけは?

カメラをちゃんとやり始めたのは、4、5年前かな。それまで、ナチュラルな作品は自分で撮影していましたが、クリエイティブ作品はずっとプロのカメラマンさんにお願いしていました。

きっかけは、子どもが生まれたからですね。当時、子どもと一緒にいる時間がなくてどうしようかと考えた時に、平日の夜に自分で撮影すれば、休日はきちんと休みが取れると思ったからです。独学ですが、意外とやってみたら出来たという感じでしたね。

自分で撮ると、まずお金がかからない、時間が好きなように使える。そして、何よりもカメラマンとイメージの共有をする必要がないので、自分が思い描いている絵をそのまま表現できること、自分の色が出せることが一番のメリットだと思います。

インスピレーションは海外のフォト作品から得ることが多い
—照屋さんは独特の空気感、世界観をお持ちですが、インスピレーションの源やイメージをどのように構築されるのか教えてください。

海外のファッション誌や海外のヘアメイク作品をInstagramやピンタレストで見たり、フォトグラファーの写真集も見ますね。日本より海外の作品の方が多いのは、ちょっと異次元な感じというか、日本にない空気感が魅力的だからです。日本の美容師さんの作品はほとんど見ませんね。クリエイティブ作品のイメージを膨らませるためには、ヘアより世界観を優先してインプットしています。

今回は、撮影イメージに近いフォトをピンタレストで集め、事前練習したウィッグの画像と合わせてスタイリストさんに送りました。何回かやりとりをして、ヘアはマニッシュ、服はシアーな素材やドレッシーな形のものを用意してもらい、ギャップを狙いました。

最近は映像も始めて、新しい楽しさが見つかった
ホームページにアップされている映像もご自身で撮影されたそうですね。

今、特に若い世代はSNSでも動画の方がヒットする時代なので、映像もやらないとダメかなと思って数ヶ月前に始めました。編集も自分でやっているのですが、めちゃくちゃしんどいです(笑)。でも、だいぶ慣れて早くできるようになりました。

映像作品は出来た時、フォトとはまた違う喜びがあります。自分でやってみるまでは魅力をあまり感じなかったのですが、自分やってみたらいいなと思いました。音が入っているのがいいなとか、髪の見え方も違うからいいなとか、新しい楽しさが見つかりましたね。


クリエイションをやると感覚が研ぎ澄まされ、感性が磨かれていく
照屋さんがクリエイションワークを大切にされている理由をお聞かせください。

僕がクリエイションを始めたのは34歳の時に独立してからなので、36、37歳の時だったかな。勤めていたサロンはクリエイションをやる環境になく、当時、東海エリアではD.C.T.の松木さんをはじめクリエイションをされている方はいましたが、全く繋がりがありませんでした。何も分からず一人で始めたのですが、賞をいただけるようになったのは『svkメイクスクール』に通い始めてからです。

クリエイションって、生み出すまでめちゃくちゃ苦しいんですよ。準備も大変だし、頭をフル回転させなくてはいけないし。でも、それをやることで、ものすごく感覚が研ぎ澄まされて、感性が磨かれていくので、サロンワークに活きてくるし、絶対、提案力が違ってくる。本当にやっていてよかったなと思います。

当サロンのお客様にはホームページやInstagram、ブックでクリエイション作品を見ていただいています。クリエイション作品を見てご来店いただく新規客も多いですね。自分たちと感覚の近いお客様が来てくれるので、女性像のイメージの共有がしやすいですし、互いにメリットがあると思います。

クリエイションを広めるため、照屋塾やセミナー活動も積極的に
培ってきたノウハウを照屋塾やセミナーで広められていますが、その原動力になっているものは何ですか?

全国からセミナーのお声がけをいただいているので、本当にありがたいことだと思っています。未だに信じられないですよ。クリエイションをやってきて良かったなと思います。セミナーは自分が求めてもらっているのが嬉しいので、期待に応えたいという思いでやらせていただいています。

照屋塾は、作品撮りのヘアの作り方から衣装のやりとり、撮影過程の全てを見せながらやることもありますし、撮影の当日だけ関与して、美容師さんが創ったヘアを僕が撮影してアドバイスするだけの時もあります。

どちらも、クリエイションをやる人が増えてくれたらいいなという思いが原動力になっています。今、やる人が減っていると思うんですよ、特に若い世代。先日、Instagramで24歳以下の美容師1名を対象に、無料で撮影をすると呼びかけたのですが、20名近くの応募があり、抽選を行いました。撮影が楽しみです。

僕が始めた頃は今のようにSNSが普及していなかったので、美容師として名を馳せるにはクリエイションで賞を獲ることしか手段がありませんでした。今はInstagramでバズったら有名になれるから、すごい時代だなと思います。僕もそこに乗っていかなくてはと思うし、「いいね!」の数をもらうこともすごく大事だと思うのですが、たくさん撮影を行なって、上の人にもアドバイスをもらうことを繰り返していくと、もっと上手になると思います。

クリエイティブはアーティストの要素が強い。いい作品ができた時に出るアドレナリン、そういうのってやってみないとわからないし、挑戦してもらえるといいな。

若いスタッフが率先して作品撮りのヘルプに入ってくれます
サロンではスタッフの方もクリエイションをされていますか?

うちは皆、クリエイションをやりますね。特に若い子。アシスタントは、クリエイションをやりたくて入社した子ばかりなので、休日でも撮影のヘルプに率先して入ってくれるので助かっています。

朝練もやっていますよ。僕は6時から自分の課題を行なって、6時半からスタッフに指導をしています。今年、拡張移転をする予定なのでスタジオも併設し、照屋塾やセミナーを行えるようにしたいと思っています。

突き詰めて、特化してできることを一つでも見つけよう
最後に若い美容師さんにメッセージをお願いします!

クリエイションをやる、やらないはどっちでもいいのですが、何かこれと思うものを突き詰めて、特化してできることが一つでもあると、美容師人生が豊かになると思います。
お互い頑張っていきましょう!



COVER LOOK BY
Hiroyuki Teruya_in chelsea

HAIR& PHOTO/Hiroyuki Teruya (in chelsea)
MAKE-UP/MoMo(in chelsea)
ASSISTANT/Ginziro Yamamoto(in chelsea)
STYLING/NOVO K(LITMUS)
MODEL/Uno
COSTUME/ LITMUS

照屋 寛倖
2010年、愛知県北名古屋市に『in chelsea』 オープン。2014年、北名古屋市に『nikome.』オープン。美容師としてサロンワークをする傍ら、フォトグラファーとしても活動。2017年、照屋塾を始動。数々の美容師達をフォトコンテスト入賞に導いている。近年の実績として2018年 資生堂ビューティーイノベーター グランプリ、2019年 JHA ニューカマーオブザイヤー ファイナリスト、DAインスパイア デザイナー賞受賞、2020年DA Photo Works アバンギャルド部門 グランプリ他受賞歴多数。
https://www.inchelsea.co

 

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