Me time 〜後編〜 俳優・兵頭 功海さん

カメラの前に立った瞬間、スイッチが入ったのが分かった。シャッターを切る度、見るものを惹きつける魅力的な表情を作り出す。 　

「スタイルチェンジして撮影する時って、自分がフッと入れる瞬間がいいなと思っていて。今日は菅野さんに、丁寧にセットしていただき、新たな自分を引き出していただいたおかげで気持ち良く入れました。楽しみながらも充実した撮影でした」『me time』（前ページ）でヘアチャレンジに挑戦していただいた俳優の兵頭 功海さん。

「役に入っていない時でも、表に出る仕事なので、いつでも見た目の良い髪型にしておくことは大事です。美容師さんは自分のイメージや希望を体現してくれる、また、寄り添ってくれる存在として頼りにしています」


HAIR & MAKE-UP: Hisayuki Kanno（MINX）
STYLING: Shuichi Ishibashi
PHOTO: Kazuki Enomoto
MODEL: Katsumi Hyodo
COSTUME: amp japan（TEL:03-5766-8570）

プロ野球選手の夢を諦め、俳優の道へ

福岡県出身の23歳。高校生時代は強豪校の野球部に所属し、投手としてプロを目指していた。しかし、高校最後の大会は怪我でベンチ入り。甲子園への切符をかけた決勝でチームも敗退してしまった。

「そこで燃え尽きました。でも、やり切ったから辞めることが出来たのです」

高校卒業後、すぐに気持ちを切り替え、子どもの頃から漠然と思っていた「テレビに出たい」という次なる夢を追いかけ、上京した。

「何のあてもなく、パッと出て来ました。とりあえず東京に行ったら何とかなるっていう根拠のない自信だけはあったのです」

打ちのめされた経験が今はプラスに

2018年、映画の出演権をかけたオーディション『NEW CINEMA PROJECT』の出演者部門でグランプリを受賞。映画『五億円のじんせい』でスクリーンデビューを果たした。華々しいスタートであったが、演技経験のなかった兵頭さんにとって、悔いも残ったデビュー作だったと振り返る。

「威勢よくオーデションを受けて、たまたま受かったけど、本番になってカメラの前に立った時に何も出来なかった。自分はすごく弱いと思ったし、薄っぺらな人間だとも思いました。普段から感情が豊かじゃないと芝居でもあらゆる感情を出すのは難しいし、自分に自信がないと人前で堂々と話すことは出来ません。当時の僕には何もなかったのです。主演の望月 歩くんは年下なのに監督からの信頼も厚く、堂々と演技をしていて、打ちのめされました。でも、その時に味わった悔しさをバネに、今も何くそ根性でやれている気がします」

翌年、若手俳優の登竜門でもある戦隊シリーズで初のドラマ出演。『騎士竜戦隊リュウソウジャー』で追加戦士のカナロ／リュウソウゴールド役を好演し、注目を集めた。その後も、ドラマ出演が続き、前クールでは、身体能力の高さを活かし、飛び込み競技を題材にした連続ドラマ『DIVE!!』で、華麗な飛び込み演技も披露した。

「怖がりではないので、躊躇なく10mの高さからパーンと飛んでいました。3歳から小学6年生まで水泳を習っていたので、水に抵抗がなかったことも大きかったと思います」

　今後、やってみたい役柄を尋ねると、「今はどんな役もやってみたいですね。でも野球を題材とした作品があったら、絶対に出たい！ 戦隊モノでアクションも経験したので、殺陣だったり、身体を動かす役柄も出来たらいいなと思います」