『Rougy』上原 健一 さん × 住田美容専門学校の2年生のみなさん

学生　私たちは一年生の時に授業で作品撮りをしているのですが、美容師になったらクリエイティブをやりたいと思っています。就職のこと、将来のことなど色々お聞きしたいので、よろしくお願いします！

Q1　入社したら、最初に「これをしておけ！」ということを教えてください。

上原　上手くなりたいという気持ちがあるなら「気づく」こと。学校では先生がやることを用意してくれるけど、僕らと同じプロの世界に入ったら、先輩の動きやお客さんの表情を見て、気づく努力をしてほしい。そうすれば、おのずと何をやればいいのか分かるようになります

大石　社会人として当然ですが、挨拶や返事を相手に聞こえるよう、しっかりすることです。

Q2　一年目から誰にも負けないものはありましたか？

上原　勢いは負けていなかったね。先輩がやることを「全部取ってやる！」と思っていて、ホウキを持たす事すらさせたくなかった。体は疲れるけど、全部やればその分上手くなれるでしょ。美味しいところは自分でやりたいから、なるべく先輩には「裏で休んでいてください」と言っていたよ（笑）。

Q3　技術向上のために心がけたことは？

上原　入ったらすぐカットをやったほうがいいと僕は思う。許される範囲でね。僕は入って2週間も経たないうちに、終わったらカットモデルを3、4人入れていたから。だって、営業中に先輩の技術をいっぱい見れるんだから、カットをしたくてしょうがなかった。シャンプーが受かってからじゃないとカットができないでは時間がいくらあっても足りない。自分がカットしだすと先輩のカットを意識して見れるようになるから、僕はそういう感じでやっていましたね。アシスタントの頃から接客をさせてもらい、スタイリストになった時には手取りで90万ぐらいまでいったかな。

大石　アシスタントの頃、毎日、一人はモデルを入れていたのですが、本当にやっていて良かったと思います。分からないないことがあれば、先輩に聞きに行くのが上手くなる道かな。

Q4　撮影に対しての取り組み方を知りたいです。

上原　絶対に妥協したくないから、粘り強くということは大切にしてきたかな。それは、うちのスタッフも皆んなが受け継いだね。でも最終的に写真として残るから、やれるだけのことはやらないと次につながらないのです。このぐらいでいいかと思うと全てがそうなってしまうから、そこだけは徹底してやってきたつもり。

大石　先輩の撮影に入る時も、「こういう風に 動かした方が可愛いんじゃないかな」とか自分の考えを持ちながら臨むようにしています。次に自分が撮影をする時にそれが活きてくると思うので。

上原　僕も沙季（大石）に「ここどう思う？」とか聞くよね。聞くと下の子が上手くなっていく。ただ何も言わないで見ているだけより、自分の意見を言って、それで変わると嬉しいし、覚えて上手くなれるんだよ。

Q5　センスや感性を磨くために日頃気にしていることは？

上原　僕も年齢はおっさんになったけど、まだまだ感性はおっさんではないと自負しています。皆んなは今のうちから色々な映画を見たり、音楽をいっぱい聞いて、自分の感性を中に溜めていったほうがいいと思います。沙季は最速でスタイリストになったけど、すぐ僕につけるようになったのは音楽にすごく詳しかったのもある。作品やスタイルを創る上で大切なのは、そこにどういう音楽が流れているのか。音楽って温度まで出るでしょ。ラテンやレゲエは暖かそうだし、ロックの中でも温度が違う。雑誌も見た方がいいね。ネットで見たものって覚えないから。あと、今は韓国が流行っているけど、僕らの頃は逆で韓国が日本の影響を受けていた。皆んなも影響を受けるだけでなく、日本から発信できる美容師になって欲しいな。

大石　私はもともと映画を見るのが好きだったので、美容師になってからも夜に見ていました。可愛いなと思った髪型などを覚えておくと、自分の好きなものが確立してくると思います。

Q6　美容師として働く上で一番大切なことは？

学生　質問に答えていただきありがとうございました。今日は本当に勉強になりました。

上原　僕は美容師ってすごく好きな職業。でも、皆さんが美容室に就職すると10：0ぐらいで辛いほうの割合が多いと思う。でも、沙季の年でキツイと思っていることが、僕の年になるとすごく楽になる。技術をどんどん覚えて上手くなっていくから、僕なんて営業中のカットは5分もかからないでできちゃう。それでいて稼ぐことができる商売だし、10年後、AIによってなくなる可能性がない仕事なのでいいと思います。僕が一番言えるのは、今は将来のことをあれこれ考えるより、2、3年は頑張って土台を作り、早く美容師になったほうがいい。何事も続けないとわからないことがあるから、今日ここにいる皆さんは、頑張って続けてほしいなと思います。