第2回目のテーマは「事業継承」。2026年で創業55年を迎えたKENJÉは、2026年3月1日に田坂 公一氏が4代目社長に就任。2027年に創業100周年となるガモウは、2018年に蒲生 典子氏が4代目社長に就任。互いに老舗としてこれまでどう歩んできたか、そしてどう事業を継承し、次世代へと繋げているのか。現・会長と現・社長、4名が集まり、熱いトークを交わしました。
KENJÉ×GAMO
事業継承に悩む全国のサロンのみなさま必読!

時代と共に変化しながら、人を大切にし
常に次世代を育成し続けることが事業継承の鍵
第1章 老舗として取り組んできたこと、時代に合わせて変化してきたこと
蒲生 茂(以下、蒲生) 企業とはお客様や社員などに対しての責任を負うものであり、その責任は規模が大きくなればなるほど大きくなります。社員本人が辞めずに勤め続けるかどうかは別として、少なくとも企業側は生涯、社員を雇用できる体制をつくることが非常に大切です。それは事業を継承し、次の経営者を育てるということでもあります。また事業継承というのは、ある程度、世間が納得するような形が必要だと思いますが、私は20歳で父の跡を継ぎ、その後、美濃部 徹※が社長に就任。最初から娘に継がせることを想定していたわけではありませんが、美濃部が十数年、在籍している間に今の典子に繋いできました。さらにその次をどうするか、それは必ずしも創業家とは限らないと思っています。KENJÉさんは創業の飯嶋 勝男さん、本多 義久さん、西山 和平さん、田坂 公一さんと事業継承できており、それが一番大事なことだと思います。
西山 和平(以下、西山) ありがとうございます。僕と田坂は同期入社で、創業者の飯嶋とも2代目の本多とも一緒に仕事をしてきました。飯嶋や本多の考えを自分たちが継いでいかなければと思っています。飯嶋は人を大事にし、仲間と一緒にずっとやっていきたいという思いがとても強い人でした。僕もその思いを強く持っています。僕が社長に就任した際、12年で結果を出そうと決意。副社長の田坂と共に走り続け、おかげさまで売上は右肩上がりです。12年という期間に区切ったのは、それ以上、僕が続けても早い動きにはならないと思ったから。田坂は現場のリーダーを長く勤めてきたので、彼が社長になればKENJÉがアップデートできると思いました。田坂が売上の基盤をつくっている約60人のFCオーナーたちを引っ張り、僕がそれをカバーできる体制をつくりたいです。
田坂 公一(以下、田坂) 僕も西山と一緒に飯嶋から技術を通してKENJÉのブランドを築いてきて、本多の時代にマネージメントを学ばせていただきました。そして西山が社長になり、自分だけではなくみんなが幸せになれる会社であり続けるという考えをベースに進化してきました。僕はその思いを引き継ぎ、飯嶋、本多、西山の考え方をどう伝えていくか、そして僕の次(5代目)をどうつくっていくか、そこが自分の仕事です。
蒲生 次の人を育てるには組織作りが大事です。50年前にガモウが株式会社になったとき、社員は4人でした。12年後に売上高が10億円に達したときは約30人。その7年後に20億円となり、その後も成長することができました。私は組織作りを歴史から学ぶことが多く、織田信長の人生も参考にしています。
蒲生 典子(以下、典子) 私は企業が継続することとは、時代に合わせながら活動することだと考えています。長い歴史を持つ弊社にとって、やはり社員と長い間お付き合いいただいているサロン様が一番の強み。サロンの20周年、30周年のパーティに呼んでいただくこともあり、弊社の歴史と共にお客様の歴史も積み上がっているのは本当にありがたいことだと思います。また信頼関係が築けているからこそ、今月の売上の仕事をするというより、未来のための「種まき」のような仕事に時間をかけられます。それが老舗のアドバンテージなのではないでしょうか。時代に合わせた変化で言えば、環境変化に対応することを大事に考えています。平和な世の中でないとビューティーは発展しませんし、個人のニーズも時代と共に変化します。さらにテクノロジーや商材の進化によっても様々な変化が生じます。それらの変化を効果的に取り入れるため常にアンテナを張り、美容ディーラーとしての機能づくりに生かしていきたいです。
※美濃部 徹氏は、1970年、タカラベルモント株式会社(当時、ウエラはタカラベルモントの一部門。後に別会社となる。)に新卒入社し、37年間勤務。ウエラジャパン(株)常務取締役 サロン事業本部 本部長として、サロンプロフェッショナルの責任者の職務を執る。ウエラ退社後、2007年にガモウに代表取締役社長 執行役員として入社し、2018年に代表取締役執行役員副会長に就任。2025年、ガモウ退社。




第2章 組織が拡大する中、企業理念をどう浸透させるべきか
典子 会長と共に過ごす時間や話をした分だけ企業理念は浸透し、その量と深さは比例します。社員が10人の頃は当たり前のように浸透しますが、30人だとギリギリ、100人を超えてくると会長1人を語り部として企業理念を浸透させるのは難しく、仕組みで伝えていかなければなりません。弊社が企業理念を体系化した1999年は社員数がちょうど100人を超えた頃で、みんなにとってわかりやすいワードが必要になった時期でもありました。また、「必要なものを 必要なときに 必要なだけ」という社是があるのですが、3年前、社員全員に社是に対して自分なりにガモウで活動したことを作文に書いてもらい、3冊の「G-Story」という本にまとめたんです。企業理念があり、社是があり、それに伴う行動があってガモウがつくられる、1人ひとりがガモウの一部なんですよ、ということを実感してもらえたと思っています。
蒲生 この取り組みはよかったですね。私は自分自身でも大事にし、社員にもよく言っているのは、嘘はつかないこと、そして約束は守ること。この積み重ねがあって今があります。
田坂 とても勉強になります。僕が一番大事にしているのはface to faceです。FCオーナーたちとリアルに集まったり、130人ほどいる店長たちと一堂に会したりすることは、効率的ではないかもしれませんが大事なことだと思っています。FCオーナーや店長たちとは、ときに西山とも一緒に夜、食事に行く機会も多いです。
西山 弊社の企業理念は「make happy!」。東日本大震災が発生した際、働き方や価値観がガラッと変わり、より自由な環境を求めて退職したスタッフもいた中、「こういうときだからこそ仲間が大事」という考えを持って残ってくれた人たちも大勢いました。その思いをみんなで共有し、みんなで幸せをつくろうという意味を込めたのが「make happy!」です。これは造語ですが、創業時から取り組んできた礼儀作法や人間力の強化=philosophy教育を表す言葉でもあります。技術だけではなく、人間を形成していくための勉強会をずっと続け、人として当たり前のことができるようになること、団結することの強みを学んできました。これをFCオーナーや店長たちが脈々と引き継ぎ、次世代へと繋げてくれているのが弊社の強みです。
蒲生 それは素晴らしいですね。自由には責任があります。自分の自由が他人の自由を阻害するのは本当の自由ではありません。互いの自由を尊重するためには仲間意識が重要です。

第3章 これまで大変だった、苦労したと感じたこと
典子 社長に就任して8年になりますが、一番大変だったのはコロナ禍でした。接客業である美容に携わる者として、人と会ってはいけないというのは衝撃的で、まさにお手上げ。しかし、これが何年も続くわけではないという前提のもと、今、何ができるかを考えました。その結果、オンラインツールの導入が進み、あと10年はかかったであろうDXへの取り組みが1年で進んだように思います。美容業界は遅れているとよく言われ、自力で変化する難しさを感じていましたが、環境変化によって無理やり変化すれば案外、適応するものだなと。これが社長就任3年目で起こり、苦労と言えば苦労でしたが、今思えばありがたい試練だったと思います。

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