ガモウニュース3月号 撮影の舞台裏 BEAUTRIUM_イガリシノブさん

Mar.19.2019

GAMO NEWS、今号のテーマは「Color」。カバー&ヴィジュアルを手がけていただいたのは、大人気ヘア&メイクアップアーティストのイガリシノブさん(BEAUTRIUM)です。
女の子の気持ちを表現してくれる「イガリメイク」の極意をお楽しみください!

 

イガリシノブさんがイメージする「Color」とは

—テーマ「Color」からイメージしたことは何ですか?

私って、甘いとか可愛いとか思われがちなんですけど、もともと精神的なことや感情を織り交ぜるのが好きで、そこから色っぽいメイクや男子モテするようなメイクも考えていました。

今回のテーマ「Color」をそのままイメージしてしまうと、明るい感じとかパステル系になってしまうので、精神的な「Color」を入れるために、バスキアの絵のイメージでやらせてもらいました。でも、丸かぶりだとバスキアのファンに申し訳ないので、バスキアの赤、青、黒、白、たまに緑みたいな色や線をヒントに、あとは私の好きなキラキラをちょっと入れてメイクしました。

撮影中にカメラマンが「東京にタイムスリップみたいな感じ」と言っていてピン!ときたのですが、東京に憧れている女の子が、「ついていけるかな…」「でも、行ってみたい…」とか、いま行くんじゃなくて、タイムスリップしたような気分になっている。そんな感じが味わえるんじゃないかなと思ってサブテーマを「TIMESLIP in TOKYO」にしました!

 

表紙の作品

中面の作品(右)

中面の作品(左)

女性像とメイクのポイント

—それぞれのヴィジュアルの女性像とメイクのポイントを教えてください。

まずカバーのヴィジュアルは、バスキア丸かぶりな感じですね。ラウンド感のある白いラインがポイントです。最初は赤も入れたんですけど、白だけのほうがいいかなとバランスを見て仕上げました。

次は、バスキアの絵にもよく出てくる「冠」とか「赤リップ」がポイントになっているヴィジュアルです。

日本人の女子って、好きな人や彼氏に対してもスキンシップがすごく少なくて、あっさりと「一緒の空間にいれたらいいや」と考える子が多いと思うんだけど、そうすると互いの間に壁が生まれちゃうから、どうしてもいきたいところにいけない、本当はこうしたかったのに「ガォー」ってなっちゃう時があると思うんですよ。ライオンじゃないけれども。

女性は控えめに三歩下がって歩いている方が素敵とかいう日本人の価値観って昔からあると思うんだけど、私はあんまりそういうの好きじゃなくて、いきたいところにいったほうがいいよと思っちゃうタイプ。スキンシップがウザいとか、その服やめたほうがいいよとか言われるなら、その彼とは別れた方がいいよと思っちゃう。そういうのが積み重なると全部が引っ込み思案になってしまうから。

女子の羽ばたきたい気持ちを全部抑えられると良くないなと思っているので、このヴィジュアルでは「ガォー」って気持ちを出したいな。でも、「ガォー」のには、愛されたいとか、相手のためにもっとしてあげたいとかそういう乙女心も入っています。

次は青いドレスのヴィジュアルです。

これは、ハチャメチャにしたいという乙女心ですかね。あれもこれもやらなくちゃいけない、あれもこれもやりたいんだけど、ドーンと休みが欲しい。でも、大人だからドーンとは休めずに、結局、あれもこれもしなくちゃいけない。さぁ、どうやって組み立てようとか考える。

今の時代、そういう、ものすごく忙しい時の女性の顔って、とても輝いていると思うんです。私は仕事や、家事や育児でもそうだけど、私は打ち込むことがある、のめり込むことがあるという感じに頭をどんどん切り替えている人って、やっぱり素敵だなと思うのでそういうところを表現しています。


どのようにディレクションをしているのですか?

—イガリさんは作品のイメージを撮影チームにどのように伝えるのですか?

イメージは何も伝えていないですね。スタイリストやカメラマンが決まった時点で彼らにお任せって感じです。私はそういうタイプ。

自分が真ん中に立ってやるというのは、化粧品のディレクションを行う時にはあるんですけど、それでも相方がいるし。自分の器に皆が乗ってくれというタイプではなくて皆で器を合わせましょうというタイプ。もともと器がないので、誰が乗っかってきても壊れちゃうし。

今回もスタイリストには、「COLORでいこうと思うんだけど、ビターなカラーなのかボリューミーなカラーなのか迷っているんだよね」ぐらいしか言っていないのですが、「OK!シノブの感じね」とわかってくれて用意してくるし、カメラマンにも何も言っていないけど、一発目でメイクを見て、何ショットか撮って「やっぱりこうかな」と判断してくれる。スタッフ選びの段階で、私のディレクションは終わっているんです。あとは皆のところに寄せていきたいという思いが強いですね。

 


インスピレーションやアイデアのもとになるもの

—「テーマは自由です」と言われた場合、ゼロからどのように着想するのですか?

私、「テーマは自由です」と言われるとできないんです。リノベーションタイプなので、1つ柱があるとすごいアイデアが出てくるんだけど、更地に家建てなさいと言われるとどうしていいかわからない。だったら、中古の家を買ったほうが100%のアイデアで素晴らしくできるタイプなの。だから、先にも言ったように、まずスタイリストとカメラマンが誰になるのかが私の中でとても重要なんです。

それから、テーマをいただいてもすぐには考えません。女の子の気持ちをメイクで表していきたいと思っているから、精神的なところを引っ張ってきたりしながら考えます。今回は、今の子たちはバスキアを知らない子もいっぱいいるから、バスキアの素晴らしさや精神的な部分を知ってもらいたいなというところからイメージを膨らませました。

サロンワークも毎日の繰り返しではなく、僕らがどういう風にお迎えして楽しむのかが大事。当サロンは、あえて堅苦しいお客様扱いはせず、フランクに接するようにしています。

生活の中に美容は欠かせないし、とても楽しいもの。その全てを、お客様と一緒にまるっと楽しんでください!

トレンドメイクを生み出すために意識していること

—イガリさんは、時にセオリーに反した新しいメイクをされるので、いつもワクワクさせられます。トレンドメイクを生み出すために意識されていることはありますか?

考えないですね。でも、媚びます。私、媚びないと思われがちなんですけど、めっちゃ媚びます。SNSをフォローしてくれている世の中の人にも媚びるし、例えば彼氏にも媚びるし。気に入った映画も大体2回は見るんですけど、その世界にのめり込んでしまう。それも媚びるということに入ると思う。でも、そうやって媚びたところから出てくるアイデアがいっぱいあるんです。だから、媚びます。

学校で基本的なメイクのルール(基礎)を教わるでしょ。でも、その基礎っていつ作られたの?って話になると、時代が変わったらメイクも変わるんじゃないかなと私は思っているだけです。でも、基礎を知らずして、今のメイクしかできなかったとしたらアウトだと思う。基礎を知っているからこそ今のメイクを変えられるんだと思います。

時代の空気を感じるためには、SNSで皆の画像を見たり、あと言葉ね。WWWがいっぱいのことを「大草原」って言うとか、すごく面白いなって思う。そういうところから、今の女の子の気持ちとかを考えてメイクをしています。


メイクを勉強したいと思っている美容師さんへ

BEAUTRIUMでは後輩の美容師さんにメイク指導をされているそうですが、メイクを学びたいと思っている美容師さんにアドバイスがあれば教えてください。

美容師さんってセンスの良い人たちの集まりだと思うんですけど、皆、センスがあるからこそ、ここという一つの型見たいのがあって、そこにお客様を当てはめようと思う。でも顔は髪の毛ほど一つの型には当てはまらないと私は思っているのです。

顔は凹凸とかシワとか一人ひとりが全く違うので、上からでも横からでも、しっかりと見てあげてほしいです。

また、メイクは塗ればいいというものではなく、足し引きや抜け感、テクスチャーなど全部のバランスを考えることも必要です。

 

皆さんはヘアが面白いと思うから美容師になったんだと思うけど、顔も結構、面白いんですよ。そこを掘り下げてお客さんにメイクしてあげてほしいなと思います。私たちヘアメイクも、顔が好きで顔だけを見てビューティーをやっている人と、ファッションが好きでビューティーをやっている人は全然違う。

お客さんのファッションセンスが好きで、このお客さんの髪を素敵にしてあげたい、だったら顔はこうしてあげようと思うのか、その人の頭蓋骨や骨格が好きだから顔をキレイにしてあげたいと思うのかで全然違うから。自分はどっちのタイプなのか分析して、全体のバランスをしっかり考えていくといいんじゃないかと思います。

あとは、美容室って髪の毛がキレイに見えるライトを使っているのでメイクには適さないんです。上からのスポットだと顔にクマや影も出るし、化粧品の色も違って見えます。だからライトは気にしてメイクしたほうがいいですよ。 私たちみたいに雑誌をやっている人のメイクを完コピするのも良い勉強法だと思います。

COVER LOOK BY
イガリシノブ_BEAUTRIUM

HAIR&MAKE-UP/SHINOBU IGARIBEAUTRIUM
STYLING/TETSUYA NISHIMURA
PHOTO/YASUTOMO SAMPEI
MODEL/RUKA(Vithmic)

カバー:ドレス、中面(右):トレンチコート・ワンピース、中面(左):ドレス
HOUSE OF VIVIANO SUE Co.,Ltd.
viviano@vivianosue.com

イガリシノブ

ファッション誌等に複数連載を持ち、雑誌・広告などのヘアメイクを手掛ける他、化粧品開発ディレクターや、 メイク講師としても幅広く活動する。似合わせのテクニックやユニークな発想、おしゃれ顔をつくる達人。 独自の発想とテクニックで提案するメイクアップは、国内のみならずアジアでもブームを巻き起こし、 多くの女優・モデルから支持される人気アーティスト。2015 年、「イガリメイク、しちゃう?」(宝島社)等を 出版し大ヒット。2018 年、自身初となるオリジナルコスメ「WHOMEE」、また3 年ぶりの書籍「裏イガリメイク、はいどうぞ」発売。
 http://beautrium.com


「イガリメイク、しちゃう?


「裏イガリメイク、はいどうぞ」

BEAUTRIUM Make up Seminar

講師:イガリシノブ氏
会場:ガモウ青山スタジオ
日時:2019 年3月26日(火)
<1部>11:00開始 <2部>14:30開始
問い合わせは、ガモウ営業担当まで

 

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